
頭のいい人と話すとき、話の引き出しの多さに驚いたことはないでしょうか。知識や教養は、学校の勉強だけではありません。街を歩く、ニュースを見る、人と話す…… 日常生活のあらゆる場所に学びのチャンスが隠されています。頭のいい人は日常の様々なことから学びを得て、さらに次の学びにつなげています。本記事では、西岡壱誠氏の著書『東大視点 ものごとの本質を見抜くための31の疑問』より一部を抜粋・再編集し、日常の疑問を深掘りし、理解度を上げるための思考法を紹介します。
日常生活の理解度を上げる
知識と教養があると、ものごとを見て得られる情報が変わってくることがあります。例えば東大生は、普段街を歩いていても、その景色の中からいろんなことを学んでいます。
「なんでコンビニはこんなに近接して立地しているんだろう? コンビニの立地はどんな戦略で決められているんだろう?」「promiseは約束って意味の英単語だけど、それがどうして金融の会社の名前に使われているんだろう? promiseって語源的にはどんな意味なんだろう?」なんて具合に、日常のささいなことに疑問を持って、学びに活かしている例が多いです。
次の例を考えてみてください。
大阪の某A駅の南側にはすでに2軒の100円寿司店があるのに、北側に新たに1軒がオープンしました。その店舗はビルの10階という不便な場所にあり、1階はパチンコ店のため、一見すると100円寿司のメインターゲットである家族連れには行きづらそうです。「なんで、こんなところに新しくオープンしたんだろう?」と疑問に思いますよね。
この疑問を解くために、A駅の北側がどんな場所か調べていくと、大型の家電量販店が多数あり、海外からの観光客が多く訪れるエリアだということがわかります。そこから、団体客や観光目的の家族連れを狙って出店したのかもしれない、と推測できます。
逆に言えば、ニュースや日常生活の中で、「あれ? これってなんでだろう?」と思ったことをスルーしていることってありますよね。
「大統領選挙と日本の総理大臣の決定の仕方はどう違うんだろう?」「なんでドラッグストアってこんなにたくさんあるんだろう?」。そんなふうに考えても、その疑問を調べることなく、「ま、いいや」と思ってスルーしてしまっていることが多いのではないでしょうか? そういう疑問と向き合うことで、知識と教養が得られます。
そしてその知識と教養があれば、また新しい疑問が湧いてくると思います。「今回の大統領選挙は、こういうポイントがいつもと違うよな。なんでだろう?」「普通はこんな立地で出店しないはずなのに、どうしてこうなっているんだろう?」と考えることができるようになるわけです。そうやって無限にいろんな学びを得られていくからこそ、頭のいい人はどんどん頭が良くなっていくと言えるのではないでしょうか。
本記事では、「それを知っておくと、他の疑問も持ちやすくなるような知識」をみなさんとたくさん共有したいと思います。街を歩くとき、ニュースを見るとき、人の話を聞くときに疑問を持つことができるようになる。そんな教養をみなさんに提供できればと思っています。
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「ホットペッパー」と「じゃらん」は何が違う?
「ホットペッパー」は、レストランや美容室、サロンの情報が得られ、予約ができるサイトですね。「じゃらん」は、旅行先の宿の情報などが得られ、予約ができるサイトです。
どちらも同じ会社が運営している「お店の情報が載っていて、予約ができるサイト」ですね。一見するとほぼ同じサイトだと感じられると思うのですが、この2つには、大きな違いがあります。ズバリ、お金の稼ぎ方が全然違うのです。何かビジネスの情報を集めるときに重要なのは、「どこで、どうやってお金を得ているか」を考えることです。その点で調べてみると、面白いことがわかります。
「ホットペッパー」は、サイトに情報を登録して掲載するのにお金が発生します。お店から、「掲載料」という形で、お金をもらっているわけです。それに対して、「じゃらん」はサイトに情報を登録するのにはお金はあまりかからないようになっています。でも、もし予約をした人がいたら、その人の払ったお金の一部が、仲介手数料として「じゃらん」に支払われます。先ほどの「掲載料」とは違って、「仲介手数料」をもらうビジネスなのです。
ですから、運営会社にとって「ホットペッパー」は「とにかく多くのお店が登録してくれるのがプラス」であり、逆に「じゃらん」は「登録件数が多いかどうかはあまり気にしなくていいので、とにかく多くの人が利用してくれるのがプラス」になるわけです。
さて、「へえ、そうなんだー」と思ってもらった上で、もうひとつみなさんには考えてほしいことがあります。このモデルの違いが、ビジネスにおいてどのような違いを生むかわかりますか?
「じゃらん」の方は、しっかりと宿の人と相談して、「どうすれば人が来てくれるのか」「どんなふうに情報を掲載したら人が来やすいのか」を考える必要があるビジネスです。「じゃらん」に掲載しても、お客さんが少なかったら意味がなくなってしまうからです。
それに対して「ホットペッパー」は、どれだけ多くのお店がサイトに情報を掲載してくれるかがポイントになります。そのお店にどれだけ人が来るかは、掲載しているお店次第になっているわけですね。
だから、ということかはわかりませんが、「じゃらん」のサイトを見ると、さまざまな旅行のパッケージがあることがわかります。このパッケージで泊まってくれれば、運営会社にその仲介手数料が入るわけですね。
みなさんがお店を経営している人であれば、こうした細かい違いを知っておくことはとても大きなプラスになるでしょう。相手がどこで儲けている会社なのかがわかれば、win-winの関係性を築くことができるかもしれないからです。しっかりとこのポイントを見極めるようにしてみてください。
Point
・同じようなサービスであっても、ビジネスモデルが違うものがある
・お金の稼ぎ方によって、ビジネスの違い・仕事の仕方が変わる場合がある