
ピレアは初心者でも育てやすく、種類も豊富な観葉植物。どの品種も葉の形がとても可愛らしく、複数の株を育てることで楽しさも倍増します。シンプルなインテリアからエレガントな空間まで、どんなシーンにも溶け込むピレアの魅力に迫り、育て方や選び方のポイントも詳しく解説します。
ピレアはどんな植物?
葉の形と模様が特徴的な観葉植物

ピレアは、イラクサ科の中でも最大の品種数を擁する「ピレア属」に分類される常緑多年草(品種によっては一年草)の観葉植物で、最大の特徴はバリエーションの多い葉の形とその模様。
丸みのある葉にシルバーのラインが入った品種や、細かい葉が密集して茂るものなど、品種ごとに異なる個性を楽しむことができます。
例えば、ピレア・カディエレイのアルミニウムのような光沢や、ピレア・ペペロミオイデスのユニークな丸い葉は、視覚的にとてもインパクトがあります。
また、小型〜中型サイズの品種が多いため、狭いスペースでも栽培が可能で、インテリアグリーンとしても大人気です。
数百種類の品種があるといわれている
ピレア属には、野生種も含めると世界中で約600~700種類が存在するとされています。アフリカやアジア、南アメリカを中心に分布しており、特に湿度の高い熱帯地域に自生する品種が多いのが特徴です。
観葉植物として流通しているのは20種類程度と限られていますが、それぞれに個性があり、育て方や見た目のバリエーションが豊富なため、同じピレアでも複数種類を育てて楽しむ人が増えています。
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ピレアで人気の種類10選
ピレア・カディエレイ
Photo by cocone/Shutterstock.com
原産地:ベトナム、ラオスなど東南アジアの熱帯地域
名前の由来:フランスの植物学者であるR.P. Cadière(カディエール)にちなんで命名されたとされています。彼はベトナムでの植物研究に貢献し、この品種もベトナム原産であることから、その功績を称えて命名されたと考えられています。
概要:ピレア・カディエレイは、アルミニウムプラントの愛称でも親しまれている品種。
シルバーの縞模様が美しく、テーブルサイズの観葉植物としても人気があります。
オフィスのデスクやリビングの棚に置けば、空間をスタイリッシュに演出してくれます。
湿度を好むため、室内でも簡単に育てられる一方で、直射日光には弱いので注意が必要です。
市場価格(※本体のみの価格/以下同):一般的には700~1,200円ほどで手に入る手頃な価格の品種です。
ピレア・ペペロミオイデス

原産地:中国南部(雲南省など)
名前の由来:丸い葉の形がペペロミア属の植物に似ているため、「ペペロミオイデス(ペペロミアのような)」と名付けられました。
概要:「チャイニーズマネープラント」や「パンケーキプラント」として知られるこの品種は、その名が表すように丸く肉厚な葉が特徴的。
「救い」や「加護」を表す花言葉もあることから、キリスト教の教会で目にすることも。
風水的には「金運を呼ぶ」とされ、インテリアグリーンとしても根強い人気を誇ります。
鉢植えはもちろん、吊り鉢にして飾ると、垂れ下がる葉が空間に立体感をもたらします。

ちなみにこの品種は1906年に、スコットランドの植物学者ジョージ・フォレストによって西洋世界に紹介され、後年に英王立園芸協会の庭功労賞を受賞しましたが、以降乱獲が進み、現在自生地では絶滅の危機に瀕しているという情報もあります。
私たちが購入できるのは園芸品種とはいえ、手に入れたら大切に育てたいですね。
市場価格:1,500~3,000円程度とやや高めです。
ピレア・ミクロフィラ
Photo by Md.Ashaduzzaman Noor/Shutterstock.com
原産地:中南米(メキシコからブラジルまで広く分布)
名前の由来:繊細な葉の形状を表現した名前がついており、ギリシャ語で「小さな葉」を意味する「ミクロ(micro)」と「フィラ(phyllos)」から来ています。
日本では「タマシダ」という和名で呼ばれることもあります。
概要:小さな緑色の葉が密集し、フワっと茂る姿が特徴のピレア・ミクロフィラは、這うように成長する特性を利用し、グラウンドカバーとして活用されることもあります。
暖かい環境を好むため、温度と湿度を保ちつつ、風通しのよい場所で育てることで、鮮やかな葉色をキープすることができます。逆にそれらが不足すると、急速に褪色し、葉を落とすので注意が必要です。
写真のようにハンギングにして飾ると、そのボリューム感がインテリアのアクセントになります。
市場価格:流通量も多く、500~1,000円程度と手頃な価格で、初心者にもおすすめです。
ピレア・ムーンバレー
Photo by hvoya/Shutterstock.com
原産地:中南米(特にブラジル周辺)
名前の由来:表面が月面のようにデコボコしていることから「ムーンバレー」というユニークな名前が付けられました。
概要:ゴツゴツとした独特のテクスチャーと、深い緑に黄色や褐色が混じった特徴的な葉色が魅力のムーンバレー。コンパクトで取り扱いやすいため、テーブルグリーンとしても大人気。
テラリウムや寄せ植えもおすすめで、組み合わせることで他の植物とのコントラストを楽しむことができます。
半日陰でも育つので、リビングの棚や、ベッドサイドなどでの栽培もおすすめです。
15℃以上の環境で、土が少し湿っている状態を維持することで、葉色の鮮やかさもキープしながら元気に育ちます。ただし、根腐れしないよう、定期的に直射日光の当たらない軒下に出すなどして、適度な風通しを与えてあげるようにしましょう。
市場価格:800~1,500円程度で、気軽に手に入れられるインテリアグリーンとして人気があります。
ピレア・グラウカ

原産地:西インド諸島や南米
名前の由来:「グラウカ(glauca)」はラテン語で「青白い」や「灰色がかった青」を意味し、その独特な葉色に由来しています。
概要:青みがかったシルバートーンの葉が美しいピレア・グラウカ。ツルが伸びる性質があるため、吊り鉢にして飾ったり、背の高い棚に飾ると空間を有効活用できます。軽やかに垂れる葉は明るい日陰でより輝きを増し、おしゃれに演出することができます。

乾燥気味の環境を好むため、土の表面が乾いたら表面全体が湿る程度の水を与える程度でOK。
市場価格:600~2,000円程度で、小さな鉢植えにこんもりと生い茂ったものが特に人気です。
ちなみに写真の株は3.5号鉢のサイズで、680円(税込)で購入しました(素焼き鉢は別)。
ピレア・ヌンムフォラリア
Photo by MT.PHOTOSTOCK/Shutterstock.com
原産地:熱帯アフリカや南アメリカ
名前の由来:「ヌンムフォラリア」はラテン語で「コインのような葉」という意味があり、小さな丸い葉を表現しています。
概要:丸いコイン状のミントカラーの葉が密集して生えるピレア・ヌンムフォラリアは、その可愛らしい見た目から、欧米では「ベビーティアーズ」というロマンチックな名前で親しまれています。
水分を好む性質があるため、成長期は土が常に軽く湿った状態を保つのがポイント。
小さな鉢に植えてデスクに置いたり、テラリウムの一部として使ったりすると、空間にナチュラルな雰囲気を加えられます。
市場価格:500~1,200円程度で、吊り鉢スタイルが人気です。
ピレア・シルバーツリー
Photo by George Trumpeter/shutterstock.com
原産地:東南アジア
名前の由来:葉の表面にシルバーの模様が入ることから「シルバーツリー」と名付けられました。
概要:シルバーの模様が入ったエレガントな葉が目を引くピレア・シルバーツリーは、上品なインテリアにぴったりの植物です。
水やりは控えめに、柔らかい光が入る場所に置くことで、葉の模様がくっきりと現れ、より映えます。
褪色や葉焼けの原因となるため直射日光は避けましょう。
寄せ植えのアクセントとしても優秀で、シンプルな鉢との親和性も高く、カフェ風インテリアとの相性は抜群です。
市場価格:1,200~2,000円程度で、シルバー模様が鮮やかな品種ほど高価になる傾向があります。
ピレア・ディプレッサ

原産地:中南米
名前の由来:地を這うように広がる成長スタイルを反映し、ラテン語で「低く押しつぶされた」を意味する「ディプレッサ」という名がつきました。
概要:柔らかな丸い緑色の葉が特徴のピレア・ディプレッサは、ピレアの中でも比較的成長の早い品種で、這うように広がる性質を持ち、テラリウムや寄せ植えにも最適です。
水分をしっかりと与えつつ、風通しのよい場所で育てることで、健康的で瑞々しい葉を保つことができます。
特に夏場はこまめに水やりをするよう心がけてください。
棚や小さなコーナーに置くと、その穏やかな雰囲気が空間を癒やしてくれます。
窓辺に置いて窓を開けていると、時折風に揺れる葉がとてもかわいらしいですよ。
市場価格:500~1,000円程度と初心者にも手を出しやすい価格帯です。
ピレア・グロボーサ
Photo courtesy of aplanter.com
原産地:東南アジア
名前の由来:「グロボーサ」はラテン語で「球状の」という意味で、葉が丸くコンパクトな形をしていることに由来します。
概要:珍しい球状の葉を持つピレア・グロボーサは、コンパクトなサイズ感が魅力のユニークな品種です。
乾燥気味の環境を好むため、水やりは控えめに。そんな性質から、多忙な方でも育てやすいのがポイント。
小型の鉢に植えてデスクや窓辺のアクセントとして飾ると、シンプルな空間が一気に華やぎます。
直射日光は避け、レースのカーテンや曇りガラス越しの日光が当たる場所で育てると元気に育ちます。
市場価格:800~1,500円程度で、珍しい品種として注目されているわりには、お手頃価格で購入可能。
ピレア・サンパウロ
Photo Courtesy of urbaneeight.com
原産地:ブラジル
名前の由来:発見地であるサンパウロにちなんで命名されています。
概要:たくさんの艶やかな葉に独特の模様が入るピレア・サンパウロは、ツル状に伸びるタイプの品種。
希少性が高く、観葉植物愛好家の間で注目を集めています。
モダンなデザインの鉢に植えることで、アーバンライクなインテリアにも溶け込みます。
温暖な環境を好むため、10℃以上を保ってください。
直射日光は厳禁。レースのカーテンなどで遮光した光が当たる窓辺に置くと、柔らかな光の中でその模様が美しく映えます。
市場価格:1,500~4,000円程度と少し高めですが、その希少性から、探している人が多いと聞きます。