
子どもや孫に対する「住宅購入」のための贈与は1,000万円まで非課税となります。定年後にまとまった退職金が手に入ったAさんは、マイホーム購入を相談してきた息子に「1,000万円の贈与」を約束。しかし、Aさんはすぐにその約束を撤回しました。いったいなにがあったのか、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。
老後の不安は皆無…セカンドライフを謳歌するA夫婦
現在66歳のAさんは、長年勤めた化学薬品メーカーを昨年65歳で定年退職。専業主婦の妻Bさん(64歳)と、住宅ローンを払い終えた都内の戸建てで暮らしています。
Aさんの主な収入源は老齢厚生年金です。今年は月約24万円ですが、妻が65歳になる来年以降は月約27万円となります。
一方、支出額は現役時代とあまり変わらず、月34万円ほど。毎月赤字ではありますが、現在の貯蓄は約3,500万円とまだまだ余裕です。
そのため夫婦は金銭的な不安を抱くことなく、悠々自適なセカンドライフを満喫していました。
(広告の後にも続きます)
ひとり息子に約束した「1,000万円の贈与」
そんなA夫婦には、ひとり息子のCさん(38歳)がいます。Cさんは都内の情報通信関係の企業に勤めており、Aさん宅から車で5分ほどの賃貸マンション(家賃14万円)に妻と小学生の娘と3人で暮らしています。
ある日、Aさんの定年退職のお祝いにA夫婦とC家が集まりました。お酒も入って盛り上がるなか、Aさんは息子からとある相談を持ちかけられます。
「娘も大きくなってきたし、そろそろ賃貸を出て家を買おうと思ってるんだよね」
すると、ほろ酔いで気が大きくなっていたAさんは「退職金もたっぷり入ったし、1,000万円くらいなら贈与してやるよ」とCさんに言いました。
「え、本当に!? ありがとう父さん、本当に助かるよ」
C夫婦は大喜び。本格的にマイホーム選びを始めました。