2月13日、米国のトランプ大統領が「相互関税」の導入を指示し、各国の関税や非関税障壁の調査が開始されました。貿易赤字の削減と米国製品の競争力向上が目的とされ、日本を含む全貿易相手国が対象となります。前回のトランプ政権時代に関税が市場に大きな影響を与えたことを踏まえると、日本経済への影響も無視できません。

過去の関税政策と市場への影響 


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現在の市場では、相互関税導入の調査が即時の関税発動には繋がらないとの見方があり、一定の安心感が生まれています。しかし、日本の非関税障壁や付加価値税の高さが懸念されており、特に自動車産業への影響が大きくなる可能性があります。

トランプ政権の第1期では、中国に対して制裁関税が実施され、米中貿易戦争が勃発。これにより、中国の輸出企業は大きな打撃を受け、米国内の一部業界も原材料コストの上昇に苦しみました。日本企業も間接的に影響を受け、中国経済の減速が日本の輸出企業の売上減少に繋がりました。

第2期トランプ政権では、中国だけでなくEUや日本を含むすべての貿易相手国に対する関税政策が強化される可能性があります。そのため、企業や投資家は、日本経済全体の動向を見極めながら、戦略を立てる必要があります。

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日本の自動車産業への影響


自動車模型と電卓
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特に、日本の自動車産業は、米国市場への依存度が高いため、トランプ政権の関税強化が業界全体に与える影響は大きいです。現在、日本は自動車輸入関税を撤廃していますが、米国は乗用車に2.5%、EUは10%、中国は15%の関税を課しています。もしトランプ政権が日本車への関税を25%に引き上げる場合、日本の実質GDPは2年間で0.2%程度押し下げられる可能性が指摘されています。

過去にも米国は、日本の安全基準や補助金制度が米国車の販売を阻害していると批判してきました。1995年にはクリントン政権がレクサスなどの日本車に100%の関税を課すと警告した例もあります。同様の動きが再燃する可能性があるため、日本の自動車メーカーは対策を迫られるでしょう。

また、現代の自動車市場では、電気自動車(EV)や自動運転技術が急速に発展しており、米国はEV産業を国内で強化しようとしています。バイデン政権下では、米国製EVに補助金を出す政策が推進されましたが、トランプ政権が再び関税を強化する場合、日本のEVメーカーにとっては、米国市場での競争がより厳しくなる可能性があります。