40年以上の歴史を持つ老舗業界専門雑誌『グリーン情報』最新号から最新トピックスをご紹介! 2025年3月号の特集は、「夏の暑さを乗り越えてガーデニングを諦めない!」。第2特集は「アジサイの進化と変革を見逃すな! 新たなマーケットの確立に向けて」。そのほかにも、「第42回全国都市緑化ぎふフェア」の概要や、話題の園芸店紹介、園芸業界で押さえておきたいトピックスなど、注目のテーマが盛りだくさん。業界誌だからこそ発信できる貴重な情報の一部をお見せします。

特集:夏の暑さを乗り越えてガーデニングを諦めない!

今号の特集は、「夏の暑さを乗り越えてガーデニングを諦めない!」。

近年の日本の猛暑は人にも植物にも厳しく、夏はガーデニングを諦めたくなる方も多いかと思います。

本特集では、ガーデナーの皆さまに夏のガーデニングにおいても成功体験を感じられる育て方や、特に暑さに強い植物を紹介しています。

冒頭では、専門家のお二人に、夏のガーデニングの楽しみ方、猛暑に負けない庭づくりのポイントなどを解説していただきました。

「夏花壇の成功体験は植物選びと基本的な管理から」-(一社)日本ハンギングバスケット協会 理事長 上田奈美さん-


上田奈美さん

最近の日本の夏は実に暑く、植物を育てることに失敗してしまう人は確かに多いですが、夏の園芸は決して無理ではない、と上田さんは言います。

夏の園芸、ガーデニングで成功体験をするには、まず基本に立ち返ること。そのためのポイントの一つは、植物選びです。ベーシックな品種は、花の美しさだけでなく、丈夫でかつ開花が長い植物。例えば、ベゴニア・センパフローレンスは厳しい環境下でも生育旺盛で強くて丈夫です。また、八重咲き品種のベゴニア・ダブレッドやベゴニア パソダブル、花が大きく成長するベゴニア ワッパーなどもあり、1品種での植え込みはもちろん、カラーリーフなどと組み合わせれば、さらにおしゃれな植栽ができます。

日本ハンギングバスケット協会は、東京五輪を迎えるにあたり、夏花の耐暑性を検証する「臨海副都心シンボルプロムナードおもてなしプロジェクト」に参加しました。太陽をさえぎるものが何もない過酷な環境下でも見事に咲き誇り、活躍したのは上記のベゴニアでした。


お台場おもてなしプロジェクトの夏花壇。ベゴニアが活躍している。

さらに上田さんが挙げる夏に強い品種は、栄養系トレニアの「スーパートレニア カタリーナ」「サマーミスト」、ペチュニア「サフィニア」「さくらさくら」、ニチニチソウ「コーラ」「タイタン」、ペンタスなど。

また、ハンギングバスケットやコンテナなど容器に植物を植え込む手法は、暑さから守る対策にも役立つと言います。

特にハンギングバスケットは、空中に吊り下げる、または高い場所にかけることで風通しがよくなり、土が高温になることを緩和し、土の蒸れもなく生育を妨げる要因が軽減されます。

記事では、その他ハンギングバスケット制作において大切なことやメリット、土づくりの大切さについて上田さんにうかがいました。


夏に強いトレニア、ペチュニアを使用したハンギングバスケット。可愛い小花のペンタスも性質は強く使いやすい。右の写真は夏休みの親子教室で制作した、100円ショップで買えるティッシュボックスに植物3苗を植え込んで楽しめる壁掛けハンギングバスケットの一例。

「日差し対策と植物選びで猛暑に負けない庭づくり」-執筆:いくにわラボラトリー 代表 大嶋陽子さん-


大嶋陽子さん

いくにわラボラトリー代表の大嶋陽子さん執筆の2ページには、猛暑に対応した庭づくりのポイントを抑えて夏のガーデニングを楽しむアイデアが満載。

北側に庭をつくる、軒下や樹木の下などの日陰を有効活用する、ポットフィートやミスト、遮光ネット、グリーンカーテンなどの利用といった工夫や、耐暑性が強い植物の紹介などを掲載しています。


夏の暑さをしのぐため、北側につくった庭。


耐暑性の強い「黒葉サトイモ」と夏の草花で季節感を演出。鉢の下にはポットフィートを利用して輻射熱から守る。

生産者がすすめる暑さに負けない植物

特集後半では、宿根草、植木、バラ、グラウンドカバーの各分野の生産者がすすめる夏の暑さに強い品種や、植物選びのポイント、管理方法などをご紹介しています。

各社イチオシの暑さに強い品種をご紹介します。

宿根草(畑やかとうふぁーむ)

◆エキナセア「ブラックベリートリュフ」(キク科)

開花期:夏から秋
草丈:80cm
植える場所:日向

◆サルビア「バイオレットクィーン」(シソ科)

開花期:初夏
草丈:50cm
植える場所:日向

◆クニフォフィア「フラメンコ」(ツルボラン科)

開花期:夏
草丈:80cm
植える場所:日向

植木(鵜飼農園畑)

◆ヤマコウバシ(クスノキ科)

開花期:4月
樹高:3〜4m
植える場所:日向〜半日陰

◆ウバメガシ(ブナ科)

開花期:4〜5月
樹高:5m
植える場所:日向〜半日陰

◆リンボク(バラ科)

開花期:9月
樹高:3〜4m
植える場所:日向〜半日陰

バラ(まつおえんげい)

◆ロサオリエンティス プログレッシオ「リラ」

開花期:四季咲き
樹高:0.9m
花径:中輪

◆ローズ・ドゥ・メルスリー「クロッシェ」

開花期:四季咲き
樹高:0.7〜1m(横張り)
花径:中輪

◆デルバール「ル・タン・デ・スリーズ」

開花期:四季咲き
樹高:1.5×1m(シュラブ)
花径:中大輪

グラウンドカバー(恵愛園)

◆ノシラン ビッタータス(キジカクシ科)

草丈:40〜60cm
植える場所:半日陰〜日陰

◆ウエストリンギアスモーキーホワイト(シソ科)

樹高:1.5m
植える場所:日向〜半日陰

◆シマカンスゲ(カヤツリグサ科)

草丈:50cm
植える場所:日向〜半日陰

そのほか、本誌では、「暑い夏でも楽しめる! おすすめ品種コレクション」として、グリーン情報編集部がピックアップした18品種とそれぞれの管理のポイントをご紹介しています。

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特集:アジサイの進化と変革を見逃すな! 新たなマーケットの確立に向けて


満開のグランデクリーム(写真提供:ハクサン)

今号の第2特集は、「アジサイの進化と変革を見逃すな! 新たなマーケットの確立に向けて」。

母の日ギフトで一般消費者にもおなじみになったアジサイ。母の日需要以外にも、新しいマーケットを育て、確立していくにはどのような視点が必要なのでしょうか…。

各分野の識者は、アジサイの進化はすでに始まっていて、これからは変革の時代を迎えると話します。

記事では、専門家にそれぞれの見解をお聞きしています。

日本アジサイ協会 前田悟さん「アジサイの世界は玉手箱。自生種の活用でマーケットは広がる」

日本アジサイ協会は、日本全国の研究者や愛好家などが集まり、アジサイの魅力を発信し、その文化の継承を目指しています。会長で、花き生産・販売にも詳しい前田悟さんが見つめる、これからのアジサイの可能性は……。

ハクサン 藤原雅志さん「日本のマーケットに向けてアジサイの進化は始まっている」

日本では、アジサイの出荷は母の日に向けて集中します。一方、欧米では長期にわたって販売され、鉢内、植物の一大ジャンルとして確立しています。その背景と、日本が学べることは……? 国内外で育種されたアジサイの数々を日本のユーザーに提供している株式会社ハクサンの藤原雅志さんに聞きました。

使用者から見たアジサイの魅力

蓼科高原バラクライングリッシュガーデン

蓼科高原バラクライングリッシュガーデンでは、毎年6月に国内で生産された植物の品評会「プランツアワード」を開催。中でもアジサイの出品は多く、年々進化し続けている品目の一つといえます。アジサイの進化はどこへ向かうのでしょうか。

緑化技研 藤田茂さん

近年、母の日のプレゼントでアジサイの鉢が選ばれるようになりました。アジサイ類の品種が大幅に増えていますが、造園分野での使用はまだ少ないといいます。(有)緑化技研の藤田茂さんが、ランドスケープから見たアジサイをご紹介します。

大田花き 宍戸純さん

在来種から最新の改良品種まで、多様な品種が市場で流通している切花アジサイ。一輪挿しから大規模会場装飾まで幅広く用いられる切花アジサイの魅力を、(株)大田花きの宍戸純さんが語ります。

各インタビューの詳細はグリーン情報本誌をご覧ください。