
約40年にわたり国内外の景気分析をしてきたエコノミスト・宅森昭吉氏が、景気や市場を先読みするヒントを紹介する本連載。今回は、大河ドラマでの「平清盛・源頼朝」の登場と景気局面の動向について見ていきましょう。
日経平均株価、前年末比▲9.4%となったのは…?
2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」で、2012年の「平清盛」以来10年ぶりに平安・鎌倉時代が舞台になっていた。
大河ドラマに平清盛、源頼朝が登場すると日経平均株価が上昇する年が多く、景気は拡張局面であることが多い。平清盛や源頼朝が生きた平安時代末期や鎌倉時代初期は、家柄や血筋がものをいう平安貴族による政治体制が崩壊し、初めて武士による実力社会の世の中になった時代だ。「新しい世を切り開く」という前向きの姿勢は、視聴者に元気を与えるのだろう。
「平清盛」では主役の平清盛は松山ケンイチ、源頼朝は岡田将生だったが、「鎌倉殿の13人」では平清盛は松平健、源頼朝は大泉洋だった。ちなみに松平健は「草燃える」で北条義時、「義経」では弁慶を演じた。
平清盛、源頼朝が登場する他の作品には、1966年「源義経」、1972年「新・平家物語」、1979年「草燃える」、1993年11月~1994年3月「炎立つ(第三部)」(平清盛を俳優は演じなかったがストーリーの中には登場する)、2005年「義経」がある。
日経平均株価は「鎌倉殿の13人」が放送された2022年だけ、前年末比▲9.4%とマイナスになったが、他の6作品はすべて前年末を上回った。
(広告の後にも続きます)
景気局面が例外だったのは、2012年に放送された「平清盛」
景気局面との関係をみると、2012年に放送された「平清盛」だけ例外で、2012年3月を景気の山・2012年11月を景気の谷とする景気後退局面を含むものの、最初と最後は景気拡張局面であった。残りの6作品はすべて放送期間中、景気拡張局面であった。

*景気局面:○景気拡張局面、 ●景気後退局面
(出所)ステラなど
宅森 昭吉
景気探検家・エコノミスト
景気循環学会 副会長 ほか