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Charles Haynes

中米コスタリカのココ島近海で、視力を持たないイセエビの仲間が発見されました。

【画像】「そんなことあるんだ」深海で暮らす目が退化したイセエビ

この発見は、出版社「PENSOFT」が展開しているドイツの学術誌「Zoosystematics and Evolution」に掲載されています。

地球上の深海に生息している可能性も

見つかったのはココ島沖合の水深831mという光の届かない深海で、学名は「タイフロニダ・ココエンシス(Typhlonida cocoensis)」です。

イセエビの仲間である十脚甲殻類に分類され、体は白っぽく、半透明の目はほとんど退化。

過酷な環境に適応するため、視覚ではなく触覚や化学感覚などを頼りに生活していると考えられています。

タイフロニダ・ココエンシスは、同じ仲間の「T. サンクティパウリ」とよく似ていますが、眼の大きさや体の形、甲羅の表面の違いなどから別の種として識別されました。

さらに遺伝子解析の結果、両者が非常に近い関係にある“姉妹種”であることも明らかになっています。

また世界各地の深海に生息する近縁種と比較した結果、タイフロニダ属は大きく2つのグループに分かれることも分かりました。

ココエンシスは「眼が極端に小さく退化したタイプ」のグループに属しており、このタイプのエビが地球のさまざまな深海に広く分布している可能性があると研究者は指摘しています。

調査には、コスタリカ大学や国立自然多様性研究所(INBio)、ドイツ・ハンブルク自然史博物館などの国際共同研究チームが参加。

形態的な特徴とDNA情報の両方から、ココエンシスはココ島近海にのみ生息する固有種であると結論づけられました。