◆「売れる空気」はあったのにピタリと止まった“風”

おさむ:「人志松本の○○な話」や「オモバカ」といった番組に出演したら、けっこう評判が良く、いけそうな空気はありました。周りからの期待というか。「このコンビ、これからけっこう売れるんじゃね?」みたいな感じ。なんとなくあったんですけど、なんかピタッと止まりましたね、風が。それは感じました。あれって、なんで止まるんですか?
――ちょっと、私には何とも……。
おさむ:結局、福岡の頃からずーっとバイトしています。
――基本的に収入は時給バイトとフードデリバリーの配達報酬だけですか?
おさむ:おかしいでしょう? なんか不思議と暮らせていますね。かみさんもたまに単発バイトとかはしていますけど、定職についているわけではないです。
――本当に1馬力なんですね。どういう家計状況なんでしょうか。
おさむ:家計は全く把握していないですね。ダメ親父に聞こえるでしょうけど、「お金と育児には口も手も出さないで」と言われているので。家にまとまったお金を入れて居候させてもらっている感じです。
――フードデリバリーは、やはり稼ぎやすいんですか?
おさむ:ご想像にお任せしたいんですが、ざっくり居酒屋でバイトしていた頃の2倍くらいですかね。長くフードデリバリー専業でやっている配達員は、みんなそれくらいだと思います。天候などによって単価も上下しますけど、1日30件やれば1.5〜2万円いくかなという感覚です。
◆働いて働いて働いて働いて働いて

おさむ:ご想像の通り、ほぼ毎日ですね。Uberだけでなく出前館もWoltもRocketNow(ロケットナウ)も、ひと通りアプリを起動して街でスタンバイしています。去年も一昨年も働きすぎて家族と一緒にメシを食ったことがないんです。正月におせち料理を一緒に食べただけで。
――ツラい……。
おさむ:いや、別にツラくはないですよ、全然。昔、渋谷よしもと漫才劇場のスタッフルームまでデリバリーして誰からも気づかれなかったときは、ほっとしたような、残念なような、微妙な気持ちになったことはありますが。
――フードデリバリーで稼ぐ日のスケジュールって、どういう感じなんですか?
おさむ:遅くても朝9時には家を出て、ランチが落ち着く15時くらいから2〜3時間の休憩を挟み、夕方から22時半ぐらいまで。フードデリバリーの仕事はラクですよ。負けることがない、緩やかに出続けるパチンコ台みたいな気持ちでやっています。
――なるほど。フードデリバリーのお仕事はけっこう好きですか?
おさむ:お言葉を返すようですが、好きなわけないじゃないですか(笑)。
――すみません(笑)。たまにはゆっくり休みたいですよね?
おさむ:あ、それはないです。
――それはないんですか。
おさむ:やっぱり嫁とお金のことで喧嘩したことがあるんで、とにかくお金だけはちゃんとしようかなと。最初の頃は健康のためにノーアシストの自転車を人力で漕いでいたんですけど、すぐに「とんでもねえ」と思って。いまは電動アシスト付きです。
<取材・文/伊藤綾>
【伊藤綾】
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

