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【退職金2,200万円】定年退職日に全員集合してくれた家族の祝福に涙ぐむ大手メーカー65歳元部長…3ヵ月後、“内助の功の妻”による「20年越しの裏切り」発覚。だけど「見なかったこと」にしたワケ

【退職金2,200万円】定年退職日に全員集合してくれた家族の祝福に涙ぐむ大手メーカー65歳元部長…3ヵ月後、“内助の功の妻”による「20年越しの裏切り」発覚。だけど「見なかったこと」にしたワケ

あまり隠す気もなさそうな「妻の20年不倫」

さらに夫Sさんにとってショッキングな事実が発覚します。妻に、不倫相手がいるようなのです。

気づいたきっかけは、妻のタブレットでした。ダイニングテーブルに置きっぱなしになっていたタブレットの画面には、メッセージアプリのトーク画面が見えています。いけないと思いつつ、妻が入浴中のためちょっと覗いてみると、そこには男性とのやりとりがありました。妻は趣味が多く、友人には男性もいるだろうと思ってはいましたが、そのやりとりは友人という雰囲気ではありません。詳しく読もうと、トーク履歴を急いでプリントアウト。膨大な量です。Sさんは自室に行ってゆっくりと目を通しました。

残酷なことに、不倫相手と妻Mさんとのやりとりは、本当の夫婦のようなものでした。妻はがん検診で再検査となったことがあるらしく、その結果が出るまでの不安な心境を相手に吐露していたり。不倫相手の娘がメンタル疾患で大学を中退したことを、妻が心配し親身に相談に乗っていたり。不倫相手の男性が職場で昇進したことを大喜びして、今度お祝いでランチしましょうと誘っていたり。妻は次女の夫に多額の借金があることを心配していて、不倫相手に相談したということもわかりました。夫の自分はなにひとつ聞いたことがありません。

不倫をイメージすると、浮かれて夢中になった遊びのはずですが、メッセージアプリのやりとりを見ていると、もはやそのような不倫のイメージを超越し、精神的に信頼したパートナーという雰囲気です。さらに驚いたのは、その付き合いがちょうど20年にもなるということ。今年が20年目の記念日だというやりとりをみつけました。「お祝いを兼ねて函館に旅行に行かない?」と、妻のほうから誘ったことも。湯の川温泉に気になるホテルがあるとかなんとか……。

「これまでずっと、友達と旅行に行くというのはこの男性とだったのか」

不倫相手が妻より2歳年下であることもわかりました。20年前に、妻が38歳のときに出会った36歳の男だったということです。

20年前……自分は家族とどんな関係だっただろうと思い出そうとしましたが、なに一つ覚えていません。覚えているのは自分が職場でプロジェクトリーダーを任された時期だったということだけ。中学生と小学生だった娘たちの学校の成績も部活の様子も思い出せないほど、自分は家族を顧みなかったのかと愕然とします。

若いころならきっと、これはなんだと騒いだかもしれません。しかし、夫Sさんはもはやそのようなことを言い出す元気もありません。それにこの事実を持ち出して責めたところで、妻がこの関係をやめるとは思えません。切られるのは夫の自分のほうだろう、とSさんは自覚しています。

そっとトーク履歴を印刷した紙を捨て、知らないふりを突き通すことにしました。それが苦しいかといわれると苦しいのですが、我慢できなくもありません。

統計には表れない「熟年家庭内別居」という選択

いままで自分は家族のなにを見てきたのだろうという自己嫌悪に囚われたSさん。定年退職するまで、妻は若いころのようにずっと自分に頼り、自分を支えてくれる存在だと思い込んでいました。子育てをし、パートで働いて家計を助け、内助の功を地で行くような存在であると。

しかし、実際は違ったのです。妻は自分自身の人生のなかで経験を積み、成長し、社会性を磨き、夫とは違う人生を築き上げてきました。23歳の新婚時の妻とは違って当然です。夫が子育てをはじめとした家庭のなかでの役割を果たさず、それに対する静かな諦めが妻Mさんのなかに定着してしまっていたことさえ気づきませんでした。

定年退職後に妻の態度が急変したのではありません。初めて妻のことを見たのが定年退職後だったのです。結婚して35年間も、妻とは別の人生を歩んでいたというのが現実です。自分は仕事をしてお金を稼いでいる、だからその役割だけで家庭での役割を放棄してもいいのだと、昭和生まれの夫はつい考えがちです。その結果が悲惨なものになることにも気づかずに。

夫Sさんはこうも思います。「だって、自分の母親から、男は仕事で価値が決まると教わったんだ」。男性の多くは、母親から教わった価値観を大人になっても持ち続けるもの。昭和40年代、50年代の父母世代の価値観を持ち続けて仕事を頑張った結果、気づいたら家庭は壊れていたというのは、なんとも悲しいものがあります。

かといって、夫Sさんは妻との離婚は考えられません。世間体もあるし、なにより財産分与されると生きていけません。退職金2,200万円とそのほかの預貯金、そしてマンションの値段が超高額なので、その価値を含めて財産を半分にすると、妻は快適な人生となりますが、夫Sさんはとたんに困窮することになります。妻も、2人の年金と預貯金を自由にでき、夫が亡くなったら死亡保険金も受け取れるので、離婚する理由がないだけだろうと夫Sさんは考えています。

「こうなったら、妻の人生の邪魔をしないよう、空気のように生きようか……」

夫Sさんは、自分の食事の支度を妻には一切頼まないことにしました。洗い物をしなくて済むように食事は常に外食で済ませ、洗濯物は近所のコインランドリーへ行くように。自宅にいるだけで邪魔なのだろうと思い、日中は図書館や、ビジネスホテルのデイユースを使って気ままに過ごします。それについて妻はなにも質問してきません。

妻が不倫相手と旅行に行く際は、夫Sさんが車にスーツケースを積み、駅まで送り届けることも。妻は妻で一応気を遣うのか、旅行先の銘菓をお土産に買ってくるので、そのときは一緒に食べます。つい先日も、函館へ行った妻は、有名菓子店のバターサンドなどを買ってきてくれました。なぜだか味はしませんでした。

夫婦仲は断絶こそしていませんが、まさに家庭内別居です。「考えてみれば、別にどうということはない。結婚してから35年間、ずっと家庭内別居ともいえる状態を作ってきたのは自分ですから」夫Sさんはそういいます。

熟年離婚は増えているけれど、統計に一切表れない「熟年家庭内別居」はもしかしたら相当な数になるのかもしれません。

長岡理知

長岡FP事務所

代表

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