◆女性配達員を狙う、卑劣なセクハラ
物流業界は依然として男性中心だが、女性ドライバーも増えている。しかし、そこには女性特有の深刻なリスクが潜む。さりーchan氏によれば、さほど珍しくないのだという。「荷物を受け渡すときに、不必要に私の手を握るような感じで受け取られたり、階段の段差で『危ないよ』と腰に手を回されたりしたことは、まあありますよね。ただ、このくらいでは気持ち悪いと感じて、相手に性的接触の意図があることを証明するには足りず、明確な対応は困難なのが悲しいです」
中には命の危険を感じるほど、あからさまな被害に遭遇することもある。
「コピー用紙は重たいので『どこかに置きましょうか?』とご提案すると、男性の方に『そこのカウンターにお願いします』と言われました。そこで店舗の中に少し入らせていただいて、カウンターに荷物を置きました。すると、後ろでカチャってドアの鍵をかける音が聞こえたんです。そして『そうやって男性に背中を向けて、何かされたらどうするの?』とおっしゃったんです。これは気持ち悪かったし、恐怖を覚えました」
◆現場の負担を減らすためには…
宅配業者が受ける無理難題は、対面時だけに留まらない。「置き配」指定であっても、ドライバーの良心的な判断が裏目に出ることがある。「普段から置き配希望の方だったんですが、その日は雨も風も強かったうえ、軽いお荷物だったんです。濡れたり汚れたり、最悪飛ばされてしまう可能性もあり、置き配はできない状況だと判断しました。そこで、一度お電話をして状況を伝えようとしたのですが、繋がりませんでした。やむなく持ち帰ったんですが、後から『なんで置いて帰ってないんだ!』とお叱りを受けました……」
物流は社会の血管であり、ラストワンマイルを支える人間の存在は代替不可能だ。しかし、人手不足や異常気象、燃料費高騰など、業界を取り巻く状況は明るくない。便利なサービスの向こう側にいる「人間」の存在に、私たちは今一度、想像力を働かせる必要がある。
<取材・文/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

