現在の金相場を分析するための「7つのテーマ」
こうした事実を踏まえ、筆者は現在の金相場を分析するための考え方として、短中期・中長期・超長期の3つの時間軸からなる「7つのテーマ」を提唱しています。
従来の“天動説”的な説明から脱却し、より実態に即した“地動説”ともいえる考え方です。
■短中期
(1)伝統的な有事(戦争やテロなど)
(2)代替資産(株との逆相関)
(3)代替通貨(ドルとの逆相関)
■中長期
(4)新興国の宝飾需要
(5)鉱山会社の動向
(6)中央銀行(金保有高・通貨発行量)
■超長期
(7)非伝統的な有事(世界分断、民主主義後退、通貨の不確実性増加、長期視点のインフレなど)
これら7つのテーマは、常に“同時に”金相場へ上昇・下落の圧力を与え合い、互いに相殺しながら価格を形成していると考えられます。
現在の金相場は「1つの材料だけで動くものではない」ことが明らかです。QE実施やウクライナ戦争勃発の際に複数の流れが同時進行したことからも、「同時に作用する」という視点は不可欠です。
この7つのテーマに基づけば、QE期の値動きも、ウクライナ戦争が勃発した年の値動きも、そして足元の相場も説明できます。さらに、将来の値動きについても、より精度の高い分析が可能になると筆者は考えています。
吉田 哲
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
