単身世帯の半数が「資産130万円以下」の現実
Sさんのように、経済的な理由から人付き合いを避け、結果として社会的に孤立してしまう高齢者は、決して特別な存在ではありません。単身世帯の懐事情は、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が発表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」のデータで読み取ることができます。
単身世帯における金融資産保有額の「中央値」は「130万円」にとどまりました。平均値は約919万円ですが、これは一部の富裕層が数値を引き上げているためです。実態としては、単身世帯の半数が貯蓄130万円以下という水準で生活していることが推測できます。Sさんの「貯金30万円」という状況は、この中央値をさらに大きく下回っており、いかに厳しい経済状況にあるかが浮き彫りになります。
また、老後の生活費の収入源として「就業による収入」を挙げる人は、2019年の48.2%から、2025年には42.5%へと減少傾向にあります。 これは「働きたくても働けない」、あるいは「働いても十分な収入が得られない」と考える人が増えている可能性を示唆しています。
同調査では、単身世帯の78.2%が老後の生活に「心配である(非常に心配+多少心配)」と回答しており、その最大の理由は「十分な金融資産がないから(65.9%)」でした。
資産形成が間に合わないまま老後を迎え、交際費などの「社会参加コスト」を切り詰めざるを得ない。その結果、孤立を深めていくシニアの姿が、データからも見えてきます。
[参考資料]
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
