投資に挑戦する際の注意点

誤解のないようにしてほしいのですが、投資信託は決して投資初心者のための金融商品ということではありません。「投資信託の積み立て購入は初心者向けなので、慣れてきたらその他のリスクが高めの投資に移行する」ということでもありません。
投資信託の積み立てであっても、2008年のリーマンショックのような大きな暴落があれば、資産価値は半減します。半減したとしても資産価値は時間が経てば回復してくると思いますが、マーケットが値下がりし続けているような時でも投資が継続できるかが重要です。
そのため筆者は「現金と投資商品の割合が50%ずつになるように保有する」ことを勧めています。この割合であれば、マーケットが上昇している時の値上がりはゆっくりですが、もし暴落するようなことがあっても資産価値の下落も比較的ゆっくりになります。また投資を始める前に、生活費の6カ月~1年分の現金が貯金できていることが理想的です。ある程度の生活費の準備ができていれば、もし大規模な暴落があったとしても慌てることが少なくなります。
ここ5~6年ほど、株式・投資信託・不動産といった金融市場は、結果的に“たまたま”好調な状況が続いていました。また新NISAの導入や米国株の上昇といった追い風もあり、多くの投資初心者が順調なスタートを切ることができました。そのため、投資を始めて間もない方の中には、大きな資産価値の下落を経験したことがなく、「資産運用は意外と簡単」「投資すれば儲かる」と感じていた方も少なくなかったことでしょう。
しかし、市場は常に変動しており、過去には〇〇ショック(例:リーマンショック、コロナショックなど)のように、予期せぬ出来事によって市場が急激に下落し、資産価値が大きく減少する事態も発生しています。記憶に新しいところでは2025年4月に起きた、いわゆる“トランプショック”による急激な株式市場の下落で、自分が保有する金融商品の資産価値が大きく減少する恐怖に初めて直面した方も多かったのではないでしょうか。
こうした背景を踏まえ、筆者は「現金と投資商品の割合を50%ずつに保つ」ことを推奨しています。現金と金融商品に資産を分散させておくことで、相場が上昇している時のリターンは控えめになりますが、暴落時にも資産全体の下落幅を比較的穏やかに抑えることができます。
また、投資を始める前に、6カ月分の生活費が準備できていることが理想的です。十分な生活資金が確保されていれば、市場が大きく変動した場合でも、冷静に対応できるでしょう。
「マーケットに絶対はなく、資産価値が下落する機会は思っているより頻繁に発生し、自分が考えている以上に値段は下がり、値段が下がっていくとメンタルに受けるダメージは自分の想像よりも大きく、保有商品が値上がりするにはじれったいほど時間がかかる」ということを意識しておきましょう。
初心者におすすめしない投資商品
個別の金融商品では、FX(外国為替証拠金取引)や株式の信用取引、暗号資産(仮想通貨)などが挙げられます。これらはいずれもレバレッジ取引が利用できるため、値動きの幅が大きく、少額でも大きな利益を狙える一方で、損失も大きくなりやすいという特徴があります。そのため、これらの投資手法は初心者には適しているとは言えません。
また基本的な考え方として、資産価値が大きく上下するリスク性商品の割合が高すぎるポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)は、相場の急変時に大きなダメージを受けやすく、おすすめできません。市場の動きに一喜一憂せず、安定した資産形成を目指すためにも、リスクとリターンのバランスを意識した運用が重要です。実際、好調な相場に支えられて資産が順調に増えていた期間に、自分でも気づかないうちにリスク性資産の比率が過度に高まっていたというケースも見られます。金融資産全体を見渡した時に、株式や投資信託といった価格変動の大きい商品に偏っていないか、定期的に確認するようにしましょう。
