高齢者がお金に執着しがちな理由
「年金だけでは暮らしていけない」と厳しい老後を叫ぶ声がある一方で、田島さんのように豊富な老後資産を持つ人も少なくありません。実際、内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の約18.8%が4,000万円以上の貯蓄を保有しています。
しかし、こうした資産を有効活用できるかどうかは、本人次第です。田島さんのようにお金に執着した結果、家族と縁を切られ、使い道のない大金だけが手元に残る――そんな悲劇もあり得るのです。
高齢者がお金に執着するのは、性格の問題だけでなく不安や脳の老化にも原因があるといわれています。
例えば、もう自分では稼げないことから、お金が減ること=寿命が削れるのと同じ恐怖に感じてしまう。孤独であればあるほど頼れるのがお金だけになり、執着が強まるといわれています。
また、仕事や役割を失った高齢者にとって、資産額が「自分の価値」そのものに置き換わるケースも。それを守ることで、自分のプライドを保とうとするのです。
そのほか、認知症の可能性も否定できません。初期症状で「家族が金を盗もうとしている」という思い込み(妄想)が激しくなったりすることもあるため、必要に応じて検査を行うのも有効でしょう。
「いつ、誰のために、どう使うのか」を考える
「俺の金に頼るな」と言い続けた田島さん。その言葉は、皮肉にも現実となりました。誰も頼らず、誰からも頼られない。1億円の資産を持ちながら、孤独の中で生きる日々。このお金で本来支えられたはずの家族の時間や、孫の成長を見る機会はもうありません。
お金は人生を支える大切な手段です。しかし、それに執着すれば本来守るべきものまで遠ざけてしまうことがあります。
抱えたまま持っていくことはできない、それがお金です。守ることよりも「いつ、誰のために、どう使うのか」を考えることが、高齢期に必要なのではないでしょうか。
