◆「特殊な塾」で身につけた効率意識
――中学時代はどのような学習環境だったのでしょうか。濵﨑潤之輔:中学時代に通っていた塾が非常に個性的でした。東大卒の先生がいたのですが、黒板で何かを教えることは一切せず、とにかく「教科書の見開きページを完璧に暗唱しろ」というスタイルで……。暗唱して先生の前で全部言えたら合格。早く終わればその時点で帰れるけれど、できなければ夜11時まで居残りさせられるという「ノルマ制」だったんです。
――なかなか特殊な環境ですね。
濵﨑潤之輔:でも、その環境が良かったんです。その塾のおかげで「なるべく早く終わらせて時間を大事にしたい」という効率意識が身につきました。家でダラダラやるのではなく、塾という場所で集中して終わらせる――。実際、その塾の仲間は皆、それぞれの学校で瞬く間に成績上位を獲得していったんです。限られた時間内でタスクをこなす「集中力の基礎」は、そこで出来上がったのだと思います。
◆「隙間時間」に学習時間を確保
――現在も多忙な中TOEICを受け続けていらっしゃいますが、いつ学習時間を確保されているのですか?濵﨑潤之輔:実は、昔から家で机に向かってがっつり勉強することはほとんどないんです。サラリーマン時代にTOEICで満点を取り始めた頃もそうでしたが、勉強はすべて生活動線の隙間や外出先で完結させています。例えばお風呂の時間。脱衣所から出てくるまでの約45〜50分間、防水スピーカーでTOEICのリスニング問題1回分(100問)を流しっぱなしにします。それから通勤などの移動時間。分厚い公式問題集を縮小コピーして手帳サイズにし、混んでいる電車内でも見られるように工夫していました。
――まさに隙間時間の徹底活用ですね。
濵﨑潤之輔:はい。基本的に「家はリラックスする場所」と割り切っています。振り返ると中学時代の「勉強は塾で終わらせて家では休む」というスタイルが、形を変えて今の自分にもベースとして定着しているのだと感じますね。
――中学時代から続く「家の外で効率的に勉強するスタイル」こそが、継続の鍵なのですね。とはいえ、多くの英語学習者はどうしても途中で挫折してしまいがちです。そんな読者へ向けて、アドバイスをいただけますか?
濵﨑潤之輔:まずは目標設定を「めちゃめちゃ低く」してください。皆さん、最初から大きな目標を立てがちですが、それでは続きません。私が幼少期に1日1枚のドリルから始めたように、無理のない範囲で続けることが何より大切。一見、遠回りに見えるかもしれませんが、その「小さな成功体験」の積み重ねこそが、いつか大きな自信に繋がるはずです。
<取材・文/時弘好香>
【濵﨑潤之輔】
大学・企業研修講師、書籍編集者。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。これまでにTOEIC L&Rテスト990点(満点)を100回以上取得。現在は、全国の大学で講師を務める傍ら大手企業でもTOEICL&Rテスト対策の研修を行う。近著に、『中学英語でつまずいた人が読む本』(日経BP)などがあり、累計100万部以上の実績を誇る。
【時弘好香】
元『週刊SPA!』編集者。ビジネス書『海外ノマド入門』(ルイス前田著)の編集を担当後、自身もノマドワーカーの道を志し、5年勤めた出版社を退社。現在はカナダでワーホリ中。将来的には旅先で出会った人々を取材しながら世界一周することを視野に入れている。無類の酒好きで特に赤ワインには目がない。

