
◆入社7年目で「旅に出るために、会社を退職」

無職旅さん(以下、同):大学の卒業旅行で、タイとカンボジアにバックパッカーとして行きました。そのときに世界中を旅している人たちに出会ったんです。半年から1年くらいかけて旅をする彼らを見て、「いつか僕も長旅をしたいな」と思いながらも、帰国してからはエンジニアとして、一般企業に就職しました。
当時は仕事も楽しかったし、いい会社だと思っていたから、その「いつか」は訪れないまま、7年が過ぎて、32歳になりました。
——そこで会社を辞めるきっかけが訪れたのですね。
異動の辞令をもらったんですが、どうしても納得がいかなくて……。その頃の会社の方針にも疑問を持っていました。入社前から「いつか辞めて旅に出る」と思っていたので、タイミング的に今だ!と思って、2009年4月に退職しました。
——会社から引き止められたのではないですか。
事情をよく知る方たちからは「ついに旅に出るのか」という応援や期待の声が多かったです。「ほとぼりが冷めたらまた雇ってあげるから、戻っておいで」と言ってくれた方もいました。
——ご家族やご友人の反応はいかがでしたか。
実は入社後に、両親には嘘をついていたんです。仕事が楽しくても「しんどい」と話して、「辞めてもしょうがない」という空気を作っていました(笑)
友人からは「いい会社に入ったのに、もったいない」「思い切ったね。人生どうするの?」と。実際に悩んだのは、会社を辞めてから4~5年が経ったときでした。
◆退職後に「デイトレードで稼ごうとして大失敗」

会社にいたときはチームで働いたり、社員食堂でご飯を食べたりしながら、他人とおしゃべりができました。通勤やオフィスがあることでメリハリのある生活もできる。会社を辞めてから、それが意外と大事だったんだなと。今でも「仕事とは別にコミュニティに属したい」という思いはあります。
あとは、社会の役に立っていないことにモヤモヤしていました。
——それはどうやって払拭しましたか。
会社で働いていたときは、目に見える人に喜んでもらえるようにしていましたが、辞めてからは対象が誰も見えなくなって。ただ、2017年にYouTubeを始めてからは、動画を配信することで、多くの人に見てもらって、その人たちに喜んでもらうことができる。別のかたちで社会の役に立てる、と。
——YouTubeを始める前は、資金繰りをどうしていたか気になります。
会社を辞めてから数年は、全く稼ぎがありませんでした。デイトレードで食っていこうと思って、かなり本気で取り組んだけど、それなりの金額を溶かしてしまって……。2012年くらいに、自分に運も実力もないことに気づいて辞めました。
2016年に「いよいよこのままだと、旅を続けられない」と思っていたら、フリーランスのエンジニアとして、ちょうど知り合いから仕事をもらえたので、なんとか食いつなげました。
YouTube を始めてからは、エンジニアとしての仕事はほとんどしていません。はじめての海外旅行が大学のバックパッカーだったこともあって、そもそも旅といってもめちゃくちゃお金を使うタイプでもないですしね。

