
更年期女性の半数近くが経験していると言われる「ホットフラッシュ」。急にのぼせたり大量の汗が出たりすると、人前だと焦ってしまいますね。特にこの時期はホットフラッシュが起こりやすい季節でもあります。
実はホットフラッシュは、体内の潤い不足を知らせるサイン。その潤いを補給する薬膳養生と、ホットフラッシュが起こった緊急時に役立つツボ養生をご紹介しましょう。
ホットフラッシュはなぜ、どんなときに起こる?

暑いわけでも運動をしているわけでもないのに、突然のほてりやのぼせ、発汗などに襲われる「ホットフラッシュ」。厚生労働省が2022年に発表した「更年期症状・障害に関する意識調査」によれば、50代女性の37.3%が「顔がほてる」、45.6%が「汗をかきやすい」と回答しており、多くの更年期世代がホットフラッシュを経験していることがわかります。
東洋医学の視点で見ると、ホットフラッシュの原因は「体の陰陽バランスの崩れ」と考えることができます。陰陽バランスとは、ざっくり言うと水分と熱のバランスのこと。両者のバランスが整っていると、体内が冷えすぎることも熱くなりすることもなく、ちょうどいい状態を保つことができるのですが、更年期世代は「陰」=体内の潤いが不足しがちになるため、「陽」=体内の熱が亢進しやすくなってホットフラッシュが起きやすくなるのです。
ホットフラッシュは熱感や発汗が突然起こるのが特徴ですが、起こるタイミングには次のような傾向があります。
◉夕方から夜
陰陽バランスは1日のうちでも変化しています。日中は「陽」の熱にあふれたエネルギーが主役で、自然界も人間も活動的な状態に。そして夕方から夜になると「陽」の勢いは収まって「陰」が主役になり、自然界も人間もクールダウン。しかしこのときに体内の「陰」が不足していると「陽」の勢いが抑えきれず熱が体内から浮き上がってきてしまい、急な熱感や発汗が起こりやすくなります。
◉イライラしたときや緊張したとき
体内の「気(き=エネルギー)」のめぐりはストレスを受けると滞り、熱を帯びるようになります。さらにその状態でイライラしたり焦ったり緊張したりすると、その熱が一気に頭部へと突き抜けて急な発汗やほてりを引き起こすことに。体内の潤いが少ないとストレスによって生じた熱を抑えきれなくなり、ホットフラッシュが起こりやすくなります。
◉食事の後
食事をすると消化するために胃腸が活発に働くため、熱が生まれます。体内の潤いが少ないとこの熱を受け止めきれず、汗として熱を発散しようとします。特に辛いもの、甘いもの、アルコールなどは、食事による熱が生まれやすい傾向があります。
◉季節の変わり目
季節の変わり目は寒暖差が激しく、気温の変化に体を適応させようと自律神経がフル稼働している状態。しかしこれが「寒暖差疲れ」となってストレスに変わり、体内に熱が生じてホットフラッシュを引き起こしやすくなります。特に立夏前後の今の時期は、体内の熱が上昇しやすく、ホットフラッシュが起こりやすいときだと言えます。
このようなタイミングで起こる熱感や発汗は、ホットフラッシュである可能性が高いと考えていいでしょう。
突然のほてりや大量の汗などの緊急時はツボ養生を

ホットフラッシュが起きたときの緊急対処法として、よく知られているのが首筋やわきの下を冷たいペットボトルや濡れタオル、保冷剤などで冷やす方法。このとき、首の後ろにある「大椎(だいつい)」のツボを冷やすのがおすすめです。大椎は首を前に倒したときに、首のつけ根で最も出っ張る骨のすぐ下にあるくぼみで、発熱時の解熱によく用いられているツボ。ホットフラッシュによる発汗や寝汗などにも適しています。汗をかいているときは必ず汗を拭いてからツボを冷やすことがコツ。なお、ホットフラッシュが落ち着いたら冷やすのをやめて、冷やしっぱなしにはしないようにしましょう。
そのほか、次のツボもホットフラッシュによる緊急時に心強い助けとなります。
◉少府(しょうふ)
精神的な原因からホットフラッシュが生じたときにおすすめのツボ。焦りや緊張、イライラなどによってカッと熱くなったときや、人前で話すときなどにプレッシャーで顔がほてったり発汗が起きたりしたときに適しています。手のひらを軽く握ったときに小指の先が当たるところがツボの場所。ここを反対の手の親指で、痛気持ちいいと感じる程度の強さでグリグリと円を描くようにもみほぐしましょう。
◉郄門(げきもん)
滝のような汗が止まらない、胸がザワザワする、激しい動悸がするといったような、身体面で強い不快感が現れたときに助けてくれるツボ。腕の内側、手首の横じわとひじの横じわを結んだ線のちょうど真ん中にあります。ここを反対の手の親指で少し強めに5秒ほど押し込んで。これを数回繰り返すと、血流が落ち着いて汗が引きやすくなります。

