
◆少数民族「シベ族」の独自言語は消滅危機

ゆのイカ:「シベ族」は新疆ウイグル自治区や中国東北地方に住む少数民族の一つです。新疆ウイグル自治区に住む民族では「ウイグル族」が一番有名で知っている方も多いと思いますが、実はウイグル族以外にも古くから暮らす民族が10以上もあります。
シベ族は、元々は中国の東北地方で生活していたのですが、18世紀に清朝により辺境防備を命じられたことから、民族の一部が新疆へ移住した歴史を持ちます。移住に参加したのは兵士とその家族を合わせた約4,000人で、1年半をかけて移動し、距離は約5,000キロメートルにも及んだそうです。
――日本列島の全長が約3,000キロなので、かなりの距離ですね!恥ずかしながら私は「シベ族」について全く知りませんでした。
ゆのイカ:私も詳しいことはYouTubeを撮り始めてから父に聞いたので、受け売りばかりです。以前から教えてもらうことはあったのですが、あまりよく覚えていなくて(笑)。
――シベ族の方は中国語で会話されるのですか?または独自の言語があるのでしょうか?
ゆのイカ:今では中国語を話す人が多いですが、独自の言語である「シベ語」も残っています。中国語とは全く違う響きで、喉や鼻の奥から響かせるような音を使い柔らかい印象を受けるかもしれません。両親が会話をするときはシベ語と中国語を織り交ぜて話すことがあるのですが、私自身は日本で生まれ育って日本語しか分からないので、ほとんど聞き取れません。
文字も中国語とは異なり、単語ごとに1本の縦線で繋がり、縦書きで左から右へ表記します。
「満州語」という言語にとても近いらしいですが、現在中国で満州語を話す人はほとんど残っておらず、ユネスコの危機言語評価では消滅の恐れが「極めて深刻なレベル」とされています。新疆に移住したシベ族は他の民族との交流が少なかったこともあり、独自の言語が残りました。といってもシベ語も「重大な危険」の評価は受けているのですが。そのため満州語の文献の解読にシベ族が協力することが多く、実際に私の母も日本の大学のシベ語の研究に協力しています。
◆父娘「文化大革命」対談動画はコメントへのアンサー

ゆのイカ:久しぶりに新疆へ祖母のお墓参りに行くことになったのがきっかけです。小さいときは数年に一度は新疆を訪れていたので、行くのが当たり前という感覚でしたが、大きくなってから実は珍しい経験をしていることに気付いて。でも本当に軽い気持ちで始めたんです。スマートフォンで適当に撮り始めたし、YouTubeのチャンネル名の「ゆのイカ」も、「ゆの」という響きがかわいいと思ったのと、ゆのだけではシンプルすぎるので当時ハマっていたイカのお寿司からつけたという適当ぶりです(笑)。
――お父さんと文革について話す動画をアップしようと思ったのはなぜですか?
ゆのイカ:元々は父に文革について話してもらう動画を撮ることは予定していなかったし、そもそも両親がシベ族だということも明かすつもりはありませんでした。方針転換することになったのは、最初にアップした新疆のVlogに対して予想外の反応があったからです。
アップする前は「新疆ってこんな感じなんですね」といったコメントが多いかなと想像していました。でも実際は「理由もなく若い女性が新疆なんかに行くはずがない」「怪しい」といったコメントがちらほらあって……。単純に親戚が住んでいるからよく行くのだと説明して誤解を解くために、両親がシベ族であることをプロフィールに載せたり、両親が日本に来た経緯を動画で説明したりすることにしました。

ゆのイカ:自分にとってはいつも通りの父だったんですが、コメントを見て「意外とパパってすごい?」と思いました。とても優しいと言われるのも「家ではごく普通のパパなんだけど……」とちょっと不思議な気持ちです(笑)。
父に動画撮影を提案したら快諾してくれました。私が両親のルーツについて興味をもったこともやはりうれしかったようです。結果的に単なるVlogとは違う動画をアップしたことは良かったなと思っています。

