
終身雇用の崩壊、出社回帰の加速、そしてAI技術の台頭……。現代のビジネスパーソンは、かつてないスピードと成果を求められる過酷な環境に置かれています。スピードを上げれば上げるほど、さらに多くの仕事が舞い込む「時間貧乏」のループから抜け出すには、どうすればいいのでしょうか。本記事は、吉川ゆり氏の著書『なぜ、あなたは時間に追われているのか』(日経BP)より、精神論ではない「人生を豊かにするための集中戦略」について解説します。
あなたがいつも「時間に追われている」理由
「いつも時間に追われている感覚がある」
「やってもやっても仕事が終わらず、残業続きでいつも疲れている」
「やらなきゃいけないことや大事なことを、つい後回しにしてしまう」
こんなお悩みを抱えていませんか。あるいは、
「1日中忙しいのに、終わった後に達成感がなく、『今日もまたできなかった』という気持ちのほうが強い」
「家族と一緒の時間をもっとつくりたいのに、つい仕事のことを考えてしまう」
こうした思いを抱えているかもしれません。あなたが時間に追われているとしても、仕事の進め方が悪かったり、時間管理の方法に問題があったりするからではありません。
時計メーカーの調査によると、70%以上の人が「時間に追われている」と回答し、60%以上の人が「一日24時間では足りない」と答えています。時間に追われることは、多くの人に共通する悩みなのです。
なぜ、こんなに多くの人が時間に追われていると感じるのでしょうか。
まず、私たちは、いまだかつてないほど、注意力散漫になり生産性が下がる環境にいます。仕事ではスピードを求められ、ひっきりなしにメールやチャットが飛んでくるなかで、常に何かにキャッチアップしていなければならないという感覚にさらされています。終身雇用は崩壊し、昔のように同じ会社で定年まで過ごすわけにはいかず、半年や1年単位でキャリアを考え成果を上げなくてはふるい落とされる時代になりました。
新型コロナウイルスの収束後は世界中でオフィスへの出社回帰が強まり、経済成長のためにはもっと働くべきだという主張も聞こえてきます。スマホを開けばソーシャルメディアが常に魅力的な情報を流してきます。仕事だけでなく子育てなどプライベートでも、こうしたほうがいい、ああしたほうがいいという情報があふれかえっていて、皆が「正解」を探し続ける結果、昔に比べてやらなければならないことが格段に増えています。
さらに、そんな状態でAI(人工知能)技術が発展し、ますますスピードと量が求められ、こういう時代に人間として仕事をするとはどういうことなのか、生きていくとはどういうことなのか?という本質的な疑問を突きつけられています。
そんな毎日を送っていると、根底に不安感を抱える人も多いのではないでしょうか。
貴重で有限な「時間」を自分にとって大切なことに使いたい
でも、改めて質問させてください。そもそもなぜ、あなたは時間に追われる人生を変えたいのですか。
「生産性を上げて会社の業績を伸ばさなければならないから」「効率的に成果を出して昇進したいから」……さまざまな理由があるでしょう。しかし、突き詰めれば、こう言い換えられるのではないでしょうか。
「あふれる仕事を早く終わらせて、『本当に大切なこと』のために時間を使いたいから」仕事で生産性を上げる目的を、業績向上や自身のキャリアアップに見いだす人もいるでしょう。一方で、パートナー、子ども、友人など、あなたにとって大切な人たちともっと時間を過ごしたい。自分の趣味やサードプレイスの活動にもっと時間を使いたい。そう思っている人も多いのではないでしょうか。
私たちに与えられた最も貴重で有限なリソースである「時間」。それを、自分にとって最も大切なことに使うことができたら、あなたの人生はより豊かなものになるはずです。自分の時間の使い道を、自分で決める。それはつまり「人生の主導権を取り戻す」ことに、ほかなりません。
