脳トレ四択クイズ | Merkystyle
満員電車で通路を塞ぐ「大型キャリーケース」や、一歩も動かない「ベビーカー」にモヤッ。乗客約7割が回答した車内マナー迷惑1位の本音も

満員電車で通路を塞ぐ「大型キャリーケース」や、一歩も動かない「ベビーカー」にモヤッ。乗客約7割が回答した車内マナー迷惑1位の本音も

◆【事例2】混雑時に通路をふさぐ外国人観光客の“キャリーケース”

満員電車
※画像はイメージです。 画像生成にAIを利用しています
 松井里奈さん(仮名・20代)は、会社に向かうため、いつものようにホームに並んでいた。

「乗車口の前がふさがっているなと思ったら、全部スーツケースだったんです」

 黒や赤、銀色の大型キャリーケースが、ドアの左右に並んでおり、持ち主は外国人観光客のグループで、2つ抱えている人もいたという。

「本当に入り口が“壁”みたいで、列の後ろの人たちも困った顔をしていました」

 電車が到着すると、彼らは笑顔で会話をしながら先に乗り込み、キャリーケースもそのままドア付近に置いた。奥に進む気配はなく、松井さんやほかの乗客はキャリーケースの間を、体を横にしてすり抜けるしかなかった。

「混んでいるのに……正直“イラっ”としましたね」

 発車後、揺れに合わせてキャリーケースが動き、近くに立っていた人の足に当たった。小さな声で「イタッ」と漏らした乗客に、観光客の一人が軽く声をかけたのだが、キャリーケースを固定する様子はなかったそうだ。

「何度か別の場所にもぶつかっていて、見ていてヒヤヒヤしました」

 次の駅で降りようとした男性が、「Excuse me」と声をかけると、キャリーケースは少しだけ動かされたものの、通路が広くなったわけではなかった。男性は、狭い隙間をかきわけるようにして降りていったという。

 やがて、松井さんの降車駅に到着。キャリーケースと人の間を縫うように出口へ向かい、ホームに降りた瞬間、思わず大きく息を吐いた。

「観光にくるのはいいけど、せめてもう少し周りに配慮してほしいなと思いました」

 電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。

◆■ 数字が語る「車内マナー」と私たちができること

今回お届けしたエピソード。周囲の困惑をよそに「当たり前」という態度で振る舞う姿は、今の日本の通勤電車が抱える「余裕のなさ」と「価値観のズレ」を静かに物語っています。日本民営鉄道協会が発表した最新の調査データからは、多くの乗客が抱える「本音」が見えてきます。

① インバウンドランキング「圧倒的1位」の正体

記事の冒頭で触れた「訪日客への不満1位」の答え合わせです。街でも見かけるゴミの放置(9位)などを抑え、実に69.1%もの人が回答した第1位は「騒々しい会話・はしゃぎまわり」でした。

そして、今回のエピソードでも深刻だった「荷物の持ち方・置き方」が41.9%で第2位にランクイン。日本人利用者が、この問題に対して圧倒的に高いストレスを感じていることがわかります。

【訪日外国人旅行者の迷惑行為ランキング】
(回答総数5,202名/最大3つまで回答)
1位:騒々しい会話・はしゃぎまわり 69.1%
2位:荷物の持ち方・置き方(鞄・傘等) 41.9%
3位:座り方(詰めない・足を伸ばす等) 26.2%
4位:強い香り(香水・柔軟剤・化粧品等) 24.8%
5位:扉付近での滞留 24.1%
6位:乗降時の割り込み・駆け込み等 16.4%
7位:優先席のマナー 10.7%
8位:その他 10.6%
9位:ゴミ・ペットボトル等の放置 8.6%
10位:周囲に配慮せず咳やくしゃみをする 7.6%
(出典:日本民営鉄道協会「2025年度 駅と電車内のマナーに関する調査」)

日本人利用者は、実害以上に「静かな空間が壊されること」や、今回のエピソードのような「荷物の持ち方」「座り方」といった、限られたスペースの占有に対して、より強いストレスを感じている実態が浮き彫りになりました。

②「当たり前」という態度の背後にあるもの

今回のベビーカーやキャリーケースを巡るエピソードで、乗客たちが一様に「モヤモヤ」を感じたのは、相手に「申し訳なさそうな素振りがなかった」という点です。

アンケートでも、約77%もの人が外国人観光客のマナーに「迷惑だと感じたことがある」と回答していますが、その多くは悪意によるものではなく、「日本の満員電車の過酷さ」や「暗黙の了解」を知らないことが原因である可能性も高いでしょう。しかし、利用する側からすれば、マナーの有無は死活問題。この認識のズレが、車内の殺伐とした空気を加速させています。

③ 殺伐とした車内を「ささやかな配慮」で和らげる

すべてをルールで縛り、排除し合うのは息苦しいものです。ですが、エピソードの中にもあった通り、降りる際の「すみません」「ありがとうございます」という一言があるだけで、周囲の受け止め方は劇的に変わります。

誰もが疲れ果て、心に余裕をなくしがちな現代。だからこそ、自分の行動が誰かの「壁」になっていないか、ほんの少しだけ客観的に見つめてみる。そのささやかな想像力が、ギスギスした車内の空気をふっと軽くしてくれるはずです。

今日もしっかりと足元を確かめ、誰もが安心して目的地まで辿り着けるような、温かい車内環境をみんなで育んでいきたいものです。

<TEXT/chimi86 再構成/日刊SPA!編集部>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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