◆片目をこじ開け、認証を突破していた?
絶体絶命の七海さんを救ったのは、意外にもゲームを続けていた優斗だった。「なあ、顔認証って片目でも解除できるの知ってるか?」優斗は淡々と続けた。「夜中、俺は見ちゃったんだよ。眠っている七海の片目を無理やりこじ開けて、スマホをかざしているヤツを。そいつが七海のスマホをいじった後、このメッセージが届いたんだ」
衝撃の告発に大輝が食いつくと、優斗は冷ややかに言い放った。
「明日香、お前だよな」
悲鳴を上げる七海と、「ありえない!」と激昂する明日香。親友同士だったはずの2人は、見るに堪えない罵り合いを始めた。
◆全員が憎み合い、友人関係は崩壊
「大輝が仲裁しようとしましたが、女子勢から『あんたに何がわかるのよ!』と一喝され、自分も味方を強要されて……。どうすることもできないまま言い争いが続き、最終的にはお互いが憎み合う最悪の状態になりました」帰りの車内は、葬儀場に向かう車中そのものだったという。カーナビの音声だけが虚しく響き、誰も音楽すら流さない。時折聞こえる七海の嗚咽。窓の外を凝視したまま動かない明日香。
「自分はハンドルを握り続けるしかありませんでした。元カレを巡る確執が原因だという噂もありましたが、真相はわかりません。確かめる気力すら、あの場にいた全員から失われていたんです」
この日を境に、数年来続いていたグループメッセージが動くことは二度となかった。
<TEXT/和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め

