◆会社員からあいのり「総理」の公設秘書に転身、県議会選に出馬するも落選

東京都新宿区内にあるオフィスビルの一角で、今井將一さん(54歳)はこう苦笑する。コールセンターやBPOセンターの運営事業を手がけるICVコンサルティングで現在、代表取締役を務める今井さん。左胸に燦然と輝く金のバッジは同社の役員以上が着用するもので、社内的には「年収1000万円以上」を暗に意味している。
私生活では、1男1女の父。毎晩仕事が終わると、妻の手料理を食べるため、オフィスのある新宿から神奈川県三浦市内の自宅まで、ときに数時間をかけてクルマで帰宅する。公私とも満たされた生活に見えるが、かつて選挙への出馬をきっかけに無収入となり、借金が1000万円近くにまで膨らんだ経験を持つ。
大学卒業後、コールセンターの受託運営を行う会社に就職。北海道支社で責任者としてコールセンターの立て直しを任されるなどして昇格を重ねた。転機となったのは’09年、人気恋愛バラエティ番組「あいのり」への出演で知られる横粂勝仁さんが衆院選に出馬し、地元・三浦海岸駅前で演説する場面に遭遇したことだ。このとき選挙活動を手伝ったことが縁で、会社を辞めて横粂さんの公設第一秘書へと転身。1年半後の’11年4月には、自身も神奈川県議会選挙(三浦地区)に出馬するが、現職の県議会議員に6000票近い投票差をつけられ落選した。生活が傾き始めたのは、このころだ。
◆娘が私立中に入学、住宅ローン返済も…削れない固定費に苦しむ日々
「選挙準備のため出馬の約半年前には秘書を辞め、選挙戦が終わるまでの半年近く、収入がありませんでした。にもかかわらず落選後、今度は個人事業主として浄水器販売の仕事を始めたんです。数か月経っても一向に売れる気配はなく、成果報酬制なので収入は0のままでした」そうこうするうち、生活資金は底をついていく。月々の出費でウェイトを占めたのが、教育費や住宅ローンなどの固定費だった。
「出馬して収入が途絶えたのと同じ年、娘が私立中に入学したんです。入学金だけで50~60万円、授業料も入れると初年度は年間100万近くかかりました。このほか住宅ローンも毎月10万円近くあり、削れませんでした」
コールセンター時代の年収は約750万。所有するクレジットカードはすべてゴールド、現金借入の限度額も100~300万円ほどあった。今井さんはいつしか、月末になると給料を引き出す感覚で月末30~40万円程度をキャッシュカードでおろす日々へと突入する。

手持ちのキャッシュカードをいずれも上限まで借り切り、今度は消費者金融を頼ろうとしたが、ブラックリスト入りしているため断られてしまう。落選から約1年後の’12年5月には、とあるベンチャー企業のコールセンター部門に再就職を果たした。定期収入が得られるようになり、年収は約750万円で前職と同水準を確保できたが、それでも生活は楽にはならなかった。
「額面は750万円でも手取りでは約600万円、月々に慣らすと50万円程度です。以前との違いとして、ここからさらに返済分も確保しないといけません。妻は主婦で子どもも2人いるとなれば、貯金はできませんでした」

