「次のSAまでどれくらい?」
何度繰り返しても返ってくる答えは「まだ先だな」だった。これは田中翔太さん(仮名)が数年前のゴールデンウィークに経験した、家族帰省の道中での出来事だ。渋滞、トイレの我慢、車内に漂う緊張感。せっかくの帰省が、移動だけでぐったりする体験になってしまったという。
◆想像以上の渋滞に困惑

「最初のうちは『まあGWだし、多少は仕方ないよね』と軽く話しながら過ごしていました」と田中さんは振り返る。音楽を流したり他愛のない会話をしたりと、渋滞直後はまだ余裕があった。しかし、1時間、2時間と時間が経つにつれて、車内の雰囲気は少しずつ変わっていった。
◆「次のSAまでどれくらい?」「まだ先だな」
状況を一変させたのが、トイレの問題だった。出発前に深く考えず水分を取ってしまっていたこともあり、途中から我慢するのがかなりつらくなってきたという。「次のサービスエリアまであとどれくらい?」と何度も聞くたびに、父親がナビを確認しながら「まだ先だな」と答える。そんなやり取りが何度も繰り返された。母親も次第に「さっき行っておけばよかったのに」と少しイラついた様子になり、車内の空気は徐々に重くなっていった。
「普段なら気にならないような一言でも、そのときは妙に引っかかってしまい、全体的にピリピリした雰囲気になっていたのを覚えています」
渋滞はなかなか解消されず、時計を見るたびに焦りが強くなっていったと田中さんは言う。「本当に間に合うのか」「このままどうなるんだろう」という不安ばかりが膨らみ、ただ座っているだけの時間がとても長く感じられた。車から降りることもできず、身動きが取れない状況というのは、思っていた以上に精神的な負担が大きかった。
気を紛らわせようとスマホを見たりもしたが、それでも時間の進み方がとても遅く感じられた。周りの車もほとんど動かず、同じ景色がずっと続いているような感覚で、「こんなに進んでいないのか……」と何度も絶望したという。

