賃貸の壁紙に汚れや傷をつけてしまい「退去時にいくら請求されるのだろう」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。壁紙の張替え費用は全額借主負担とは限らず、経過年数や損傷の原因によって負担の有無や金額が大きく変わります。
また、借主負担となるケースでも、自分で施工業者を手配すれば管理会社経由より費用を抑えられる可能性も。この記事では、費用負担の判定フローチャートや費用相場、損しないための具体的な方法を解説します。ぜひ参考にして、退去費用を最小限に抑えましょう。
1.【フローチャートつき】賃貸の壁紙張替え費用の負担はどっち?

賃貸の壁紙張替え費用が貸主・借主どちらの負担になるかは「経過年数」と「傷・汚れの原因」の2つで決まります。ここからは、以下2つのパターンに分けて解説します。
貸主負担|経年劣化の場合(前回の張替えから6年以上経過)
借主負担|故意または不注意で傷つけた場合(原状回復義務)
1-1.貸主負担|経年劣化の場合(前回の張替えから6年以上経過)
壁紙の汚れや傷の原因が経年劣化・通常消耗であれば、張替え費用は貸主の負担になります。民法および国土交通省のガイドラインで、借主は原状回復義務を負わないと定められているためです。たとえば、以下のようなケースが該当します。
日照による壁紙の日焼け・変色
画鋲やピンの穴
テレビ・冷蔵庫の裏にできた黒ずみ(電気焼け)
家具の設置による床・壁のへこみ
また、借主の過失による汚れや傷があっても、前回の張替えから6年以上経過していれば残存価値は1円となり、原則として貸主負担です。
ただし、6年経過後でも壁紙がまだ使用可能な状態であるケースには注意してください。借主の故意・過失で使用不能にしてしまった場合は、本来機能していた状態に戻すための工事費用を借主が負担しなければならないこともあります。
なお、2020年4月施行の改正民法では、経年劣化や通常消耗については原状回復義務を負わないことが明記されました。これは、法務省の「賃貸借契約に関するルールの見直し」の4ページ目に記載されています。経年劣化なのに壁紙の張替え費用を請求された場合は、この内容を根拠に管理会社へ交渉してみてください。
1-2.借主負担|故意または不注意で傷つけた場合(原状回復義務)
通常消耗を超える傷や汚れを借主がつけた場合、張替え費用は借主の負担になります。借主は、賃貸物件を通常の使用範囲を超えて損傷させた場合、原状回復する義務があるためです。たとえば、以下のようなケースが該当します。
タバコのヤニによる壁紙の黄ばみ
ペットの引っかき傷
子どもの落書き
結露を放置したことによるカビ・シミ
キッチンの過度な油汚れ
ただし、傷や汚れをつけてしまった箇所が一部分だけの場合は、部屋全面分を負担する必要はありません。以下の図のように、借主が負担するのは傷や汚れをつけた「一面分」のみとなります。

一面分の張り替え費用からも、経過年数に応じた通常消耗・経年劣化分が差し引かれる仕組みです。たとえば、3年経過なら負担割合は約50%、5年経過なら約17%まで下がります。
なお、多くの方に知られていないものの、借主が自分で施工業者を手配することも可能です。自分で業者を手配すれば、壁紙の張替え費用を大きく抑えられることも。詳しくは「3.賃貸の壁紙張替えで損しない方法|自分で業者を探して工事を手配」で解説するので、ぜひ参考にしてください。
2.賃貸の壁紙張替えを負担する場合の費用相場
賃貸物件の壁紙張替えで払うべき費用は次の2つの要素によって決まります。
どのくらいの面積の壁紙を張り替えるか
壁紙の耐用年数のうち、何年経過しているか
この2つの軸によって、どのくらい費用が変わるのかは以下の表のとおりです。
| 部屋の大きさ (壁・天井面積の目安) |
前回の張り替えからの経過年数 | ||
|---|---|---|---|
| 1~2年 | 3~4年 | 5~6年 | |
| 6畳(45㎡) | 3.6~4.5万 | 2.3~3.2万 | 0~1.4万 |
| 8畳(54㎡) | 4.3~5.4万 | 2.7~3.8万 | 0~1.6万 |
| 10畳(64㎡) | 5.1~6.4万 | 3.2~4.5万 | 0~1.9万 |
| 2LDK(350㎡) | 28~35万 | 17.5~24.5万 | 0~10.5万 |
| 3LDK(400㎡) | 32~40万 | 20~28万 | 0~12万 |
※費用は単価1,000円/㎡で計算
上記の費用相場は壁紙張替えのみの概算費用です。人件費や諸経費などの費用もそれぞれプラス3万円程度かかります。
また、入居時に壁紙が張り替えられているとは限らないため、入居からの経過年数ではなく、前回の張り替えタイミングからの経過年数で考える点に注意しましょう。
入居時に壁紙が張り替えられているなら、居住年数=経過年数として耐用年数の6年に応じた残存価値の費用を負担しますが、例えば入居の3年前が壁紙の張り替えタイミングであれば、残存価値は50%として、居住年数に応じた価値が減じられます。

出典:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)|国都交通省
退去時の借主負担は、一般的に工事費用から敷金を引いた額となりますが、具体的な費用は貸主との契約内容によっても異なります。
契約書には敷金内で済ませるという場合や、状態があまりにもひどい場合には敷金を越えて多く請求することになっていることもあるので、契約内容を再確認しましょう。

