◆AI浸透で米国では新卒採用をストップ

「AIはまず、ジュニアレベルが担ってきた雑務を自動化したため、新卒・未経験者に任せる仕事がなくなった。多くの企業はその分、ごっそり人を減らしたいと思っているのですが、大きな反発が起こると想像できるので、まず新卒採用をストップしたのです。今ではインターン採用を控える企業も増えているようです。そのため、『Z世代の失業率が最大30%に達する可能性がある』と指摘する人もいます。
一方で、シニア層が頭を悩ませているのは、子供の進学です。今までは大学院でコンピュータサイエンスのマスターを取得して、ようやくテック企業に入れたのに、エンジニアの仕事がAIに取って代わられるなかで『子供を6年通わせる意味があるのか?』と感じ始めた。子供の将来を案じるという形のAI疲れも生じているわけです」(福原氏)
◆AIによって社内で“コンテンツ爆発”が発生
当然のことながら、AI疲労はエンジニアの世界に限ったことではない。AIツールを活用した営業支援事業を展開するamptalk社長の猪瀬竜馬氏が話す。「AIが調べ物や資料作成、セールスフォースなどの営業支援ソフトへの入力などをある程度自動化してくれて営業効率が高まる一方で、ビジョンもなく時流だからとAI活用を掲げる企業の営業部隊のなかには疲労感が増しているところもあります。社長の実績や考え方を詰め込んだ“AI社長”やAI本部長”をつくる企業が増えているのですが、以前だったら営業先への提案書を作成したら上司にレビューしてもらって仕上げるというフローだったのに、最近では『まず、AI社長と3回ぐらい壁打ちして煮詰めろ』と言われるので、余分なフローが生じている。
一方で、営業部長クラスだと、かつては一日1、2件、部下の営業に同行して、ほかの部下からの報告書をチェックするのが大まかな仕事だったのに、今は10人のチームなら10人全員がその日の打ち合わせ内容をAIで全部書き起こし、基の録音データも一緒に提出するので、それをチェックしてフィードバックするだけで多くの時間を要するようになりました。AIによって社内で“コンテンツ爆発”が起こって、管理する側の人間がそれを処理しきれなくなっている」
いつか、そんなAI疲れから解放されるのだろうか? 福原氏は「優しさがキーワードかもしれない」と話す。
「先日、マイクロソフトのエンジニアと会ったら『あえてAIに関係ない仕事に振り切るのも手だね』と話していました。AIが進化し続けても、必ず残る仕事や領域はあって、そのスキルを身につけるのもいいと。その例として挙げていたのが、“優しさ”なんです。とにかく部下を気遣いまくって、異常に優しくなった人がいるようで、『AI社会での戦略的な生き残り策は人に優しくなることかもしれない』と話していた(笑)」
AIに疲れたときこそ、人に優しくあれ!

