◆総合職は社内ツールを全部使わないといけない

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「ジョブ型雇用のアメリカでは、一人が触れるツールの範囲が限定的です。一方の日本は、総合職(ゼネラリスト)が主体。無尽蔵に増えたツールすべてに関わらないといけないため、必然的に脳のリソースは奪われます」
こうした物理的な負担に加えて、精神もじわじわと削られていく。久松氏は言う。
「上司の予定に『人事部との打ち合わせ』とあるだけで、『リストラされるかもしれない』と、将来不安に駆られる。スケジュールの共有は透明性を高める一方で、見方を間違えると身勝手な“予言の書”になり得ます。事実よりも解釈が先行し、勝手に疲れている人もいます」
◆“心理的ノイズ”が積み上がる状態に…
仕事をしているはずが頭の中だけが忙しくなる。実際には何も進んでいないのに疲労だけが蓄積していく……いわば“心理的ノイズ”が積み上がっている状態だ。医療機器メーカーの営業職はこう嘆く。「効率化のためにクラウド営業ツールを導入したので期待していたんですが、入力項目の数が100個超と多すぎる! しかも一つミスると保存できないし、これじゃあ仕事というよりも耐久テストです。お客さんより入力画面を見ている時間のほうが長い。俺、営業だよな?ってたまに自問自答します」(42歳・男性)
こうしたSaaSが招く混乱にはIT人材が育ちにくい日本の土壌も大きく関わっている。久松氏は警鐘を鳴らす。
「ITエンジニアを戦略的に採用せず、新卒の総合職が“配属ガチャ”の流れでIT部門を担当しているケースは多い。そうなると担当者の経験はその企業に依存し、体系的な設計スキルを学ぶ機会が“運ゲー”になりがちです。本来の設計意図と異なる〝自社流〞の使い方が往々にして定着してしまいます。これでは再現性がなく、IT人材も育ちません」
SaaSによって便利になるはずだった仕事は、今日も“デジタル九龍城”の中で遠回りを強いられている。
【テックタッチ 中釜由起子氏】
テックタッチで広報とマーケティングの責任者を務める。元朝日新聞記者でウェブメディア「telling,」の創刊編集長
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組織構築やDXの課題分析に定評がある、IT組織やITキャリアづくりの水先案内人。合同会社エンジニアリングマネージメント社長
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取材・文/週刊SPA!編集部
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