30万円が300万円に…「中国コイン」で見られた異次元の値上がり
当時のコイン相場で印象深いのは中国コインです。
コインの相場は株や債券などのペーパーアセットと違い、刻々商いが成立する取引市場というものがありません。それがかえってコイン相場に幸いしたという面もあったと思います。
コインという閉ざされた市場にも、たとえばPCGS3000(注)のように限定された地域のコイン指数はありますが、それも日々更新されるものではありません。
注)PCGS3000:アメリカの大手コイン鑑定会社PCGS社が発表するコイン指数。アメリカの幅広いレアコイン価格を指数化した値です。
私たち収集家やアドバイザーがウォッチしているのは、世界で開かれるオークションの落札相場です。
たしかにリーマン・ショック直後に多少は落札相場は下げたかもしれませんが、実は私にはその記憶がほとんどないのです。
それより強く記憶に残っているのは翌年以降の中国コインの値上がりです。たとえば有名な「自動車ダラー(注)」の値動きをみますと、以下のように推移しています。
・リーマン・ショック前後で並程度(EF40)の状態のものが30万円程度
・同程度の状態のものが2010年あたりには100万円超え
・その後のピークは2020年あたりで同程度の状態のものが300万円超え
注)自動車ダラー、清朝滅亡後に中国(正確には当時は中華民国)では各省が大型の銀貨を発行しました。
自動車ダラーは貴州省で1917年に発行された7銭2分銀貨、ウラ面に当時のフォード車がデザインされており人気が高いコインです。
わずか5年で119万円が1000万円超え…10倍超の利益を生んだコイン
自動車ダラーに関して、私の体験談を一つ紹介しましょう。
2017年にある方から「オークション代行入札」の依頼を受けて、この銘柄への応札を提案したのですが、結果、ハンマープライスは7,500ドルでの落札となりました。
当時のドル円レートで計算すると、輸入消費税込みで119万円です。5年後の2022年、その依頼者から売却したいと相談を受け、こんどは別の海外オークションに代行出品したのですが、ハンマープライスは8万ドルで落札されました。
オークション会社の出品手数料や当社の代行出品手数料を差し引いて、その方の手取りは1,000万円を超えました。
以上、わずか5年でハンマープライスが10倍以上になった稀有な例です。もちろん、これは特異な事例で、すべてのコインがこのように値上がりすることはありません。
ただし、うまく銘柄を選び、さらにタイミングよく手放すことができれば、このような利益を上げることもあり得るという事例として紹介しました。
自動車ダラーだけではありません。中国コインの主役は金貨ではなく銀貨ですが、清朝末期から戦前の中華民国で発行された銀貨の多くは、同時期に驚くほど値を上げました。
ここまでは中国コインについてのお話ですが、リーマン・ショック前後から数年先までの値動きは、ほかの国や地域でも同様の傾向がみられます。
田中 徹郎
株式会社銀座なみきFP事務所
代表/FP
