◆出世する人がやっている「口元の習慣」

前述のように「自己管理ができる人」に見えるから。
そうなるには、具体的に何をすればいいのでしょうか。特別なことは必要ありません。しかし、“やっていない人が多すぎる基本的なケア”があります。
まず、歯ブラシだけで終わらせないこと。歯と歯の間のケア(歯間ブラシやフロス)を取り入れることで、お口の健康だけでなく、清潔感も大きく変わります。
米国では、「Floss or Die?(フロスをしますか、それとも死にますか?)」という言葉があります。歯周病と全身の病気は関係性が高く、歯周病予防にフロスは欠かせないものだと示唆しています。歯周病は見た目にも口臭にも大きく影響するため、まずは、フロスの習慣化を目標にしましょう。
次に、口臭ケア。舌の汚れや口の乾燥も、臭いの原因になるため、水分補給や舌ケアも意識したいです。
今日からできる一番安上がりな出世術が、コンビニで100円の水を購入し、コーヒーの後などに口をゆすぎながら飲む摂取することです。マメな水分補給と、お口の中の洗い流しによって、歯の着色を防いだり、お口の乾燥から口臭がするのを防ぎます。
さらに、姿勢や呼吸。口呼吸や猫背は、口内環境を悪化させる要因になります。
歯の表面にこびりついた細菌の塊「プラーク」は排水溝のぬめりと同じで、うがいでは絶対に落ちません。また、集中時に無意識に猫背で口が開いていると(口呼吸)、唾液が減り、菌が爆発的に繁殖して口臭を放ちます。
そして、定期的な歯科受診。自分では取りきれない汚れや、初期のトラブルを防ぐためにも重要です。継続して通うことで、自分では気が付けないお口の変化に早く気が付くことができます。
◆口元は第一印象を決め、コミュニケーションの入り口にもなる
清潔感は、一度整えて終わりではなく、「習慣として積み上げるもの」です。新年度は、誰もが「評価される側」に立つタイミングでもあります。
その時に見られているのは、スキルや実績だけではありません。話し方、姿勢、そして口元。
歯が綺麗な人は、単に見た目が整っているのではなく、「自分をどう見せるか」を理解している人なのかもしれません。
私は歯科医師として、あなたの能力を否定したいわけではありません。素晴らしい実績や情熱が、歯石や着色などお口のせいで正しく伝わらないのがもったいないと感じてしまうのです。口元を整えることは、自分を飾ることではなく、相手に不快感を与えないという最高のビジネスマナーなのですから。
<文/野尻真里>
【野尻真里】
一般診療と訪問診療を行いながら、予防歯科の啓発・普及に取り組んでいる歯科医師です。「一生涯、生まれ持った自分の歯で健康にかつ笑顔で暮らせる社会の実現」を目標にメディアで発信をしています。X(旧Twitter):@nojirimari

