一歩踏み出した先にあるもの
それからさらに半年が経ち、美波さんは「やはりこのままではおさまらない」と、通知書の件を依頼した弁護士とは別の弁護士にも相談してみました。そして、やはりその弁護士からも「裁判手続きを取るしかない。裁判が嫌なら諦めるしかない」と同じ答えを告げられます。
美波さんは、時間をおいて、2人の弁護士から同じことをいわれたことで踏ん切りがつきました。弁護士に依頼して、友香さんを被告とする貸金返還請求訴訟を提起することにしたのです。
いざ裁判が始まると、友香さんは代理人弁護士を立てずに現れ、自身の非を認めました。結果、200万円を分割で支払う和解が成立。無事に200万円全額を回収することができました。
そして、この手続きと並行して、あらためて友香さんが謝罪したことで、完全に元通りというわけにはいかないまでも、2人の関係は一応の修復ができました。
幸い、美波さんは200万円を取り戻せましたが、このようなケースでお金が返ってくることは、実務上そう多くはありません。もし美波さんが二の足を踏んだまま裁判を起こしていなかったら、この解決はなかったでしょう。
美波さんが裁判というものにプレッシャーを感じたことは、一般の感覚として自然な反応です。だからこそ、裁判を起こされた友香さん側もプレッシャーを感じ、判決を取られて財産が差し押えられる事態を避けようと、和解に応じたといえます。
裁判は日常生活から離れた、縁遠いものに感じるかもしれません。しかし裁判は、トラブルや紛争の解決のために国家が用意した公的な手続き・手段です。大切な資産や人間関係を守るためには、必要な場面で利用することに躊躇う必要はありません。
市川 巧
弁護士
貝坂通り法律事務所
