
体がだるい、やる気が出ない……多くの現代人がこの時期に感じやすい五月病。更年期世代は自律神経が不安定なため、特に五月病が現れやすい傾向があります。
実は東洋医学では、五月病は「脾(ひ≒胃腸)」が深く関わっていると考えられています。そしてそのセルフケアのカギとなるのは「土」。その意外な養生法をご紹介しましょう。
五月病と「脾(ひ)」の関係とは?

5月になると心配になるのが五月病。一般的には、4月からの新生活でストレスが続いていたところに大型連休を挟むことで緊張の糸が切れて不調が起こる、春の激しい寒暖差や気圧の変化などで心身が不安定になる、などが原因と言われています。
では、東洋医学の視点では五月病の原因はどうとらえるのかというと、「脾(ひ)」の力の低下と考えることができます。
脾とは「五臓(ごぞう=体の機能を大きく5つに分けた東洋医学の考え方)」のひとつで、主に胃腸の働きをさすもの。五月病と胃腸、一見あまり関係がなさそうですよね。しかし東洋医学の脾とは、西洋医学で言うところの胃腸よりも広い働きをさしていて、そのひとつである「昇清(しょうせい)」という作用が五月病に深く関わっているのです。
昇清とは「栄養物質を上昇させる作用」のことで、脾が飲食物を消化吸収して生まれた栄養物質を頭部、顔、心(しん≒心臓)、肺などの体の上部に届ける働きをさしています。この昇清の働きによって脳に栄養やエネルギーが届けられ、意識がはっきりして思考力や判断力などがクリアに働くように。また、昇清の上昇力は体を重力に負けないように支える力にもなっていて、内臓下垂や肉体のたるみなどを防ぐ役割も果たしています。
この昇清の働きが低下すると脳に栄養が届きにくくなるため、やる気が出ない、思考がまとまらない、集中できない、気分が晴れないなどの不調が現れやすくなります。さらに重力に負けないように支える力も弱くなるので、体が重くなって動けない、まぶたや頬がたるむといった不調も見られることが。脾の働きはストレスによって損傷を受けやすく、また湿度が高くなると働きが低下しやすい傾向もあるため、4月からの新生活のストレスがたまってきて湿度も上がりはじめるこの時期に五月病という形で不調を生じやすくなるのです。
五月病対策には「皮つき」おいもメニューを

東洋医学で五月病のセルフケアをするなら、「益気昇提(えっきしょうてい)」という養生法をとり入れてみてください。
益気昇提とは脾の昇清作用を高める方法で、「気(き=エネルギー)を補って体内で上昇させ、下降している栄養などを持ち上げる」という養生法。益気昇提の効果が期待できる身近な食材には、じゃがいも、さつまいも、やまいもなどがあります。いずれも温かい料理で皮ごと食べるのがコツ。おすすめは今が旬の新じゃがです。
◉新じゃがの丸ごとレンジ蒸し
じゃがいもは脾の気を補う力が非常に強く、疲労回復にうってつけ。疲れやすい体に即効性のあるエネルギーを与えてくれます。新じゃがは皮が薄く食べやすいので、まるごとおいしくいただきましょう。
<材料(1人分)>
新じゃが…… 小〜中サイズ 2個(約150g)
水…… 小さじ1
天然塩…… 少々
オリーブオイル(またはバター)…… 小さじ1
<作り方>
①新じゃがをよく洗い、芽があればとり除きます。皮つきのまま、火が通りやすいようにフォークで数カ所穴を開けます。
②キッチンペーパーを水で濡らして軽く絞り、新じゃがを1個ずつ包みます。
③②の新じゃがを皿に乗せ、皿の底に小さじ1の水を注ぎます。皿全体を覆うようにふんわりとラップをかけて、電子レンジ(600W)でやわらかくなるまで約3〜4分加熱。 その後、ラップをしたまま3分放置して余熱で蒸らします。
④食べやすい大きさに切り、熱いうちに塩とオイル(またはバター)をあえたらでき上がり。
さつまいもややまいもも、皮つきのままスライスしてフライパンで焼くなどすれば、益気昇提の薬膳メニューに早変わり。疲れや無気力などが気になるときはじゃがいもやさつまいも、思考力や集中力の低下が気になるときはやまいもを選ぶといいでしょう。

