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きれいをつくる女性たち 「アムリターラ」勝田小百合

きれいをつくる女性たち 「アムリターラ」勝田小百合

真の美と健康を探究して、19年

ルージュから在来種の梅で作った梅干しまで。『アムリターラ』が提案するのは、肌のケアやメイクアップにとどまらない。カラダの内側からととのえることも美容の一環と捉え、食品やサプリメントも展開している。生産者と顔の見える関係を築き、「10の約束」に則ってつくられている。

──まずは『アムリターラ』を立ち上げた経緯を教えてください。
俳優をしていた1990年代に、無添加コスメと出合ったことで化粧品の成分に興味を持ちました。そこで、国が定めた肌トラブルを起こす可能性がある「表示指定成分」の存在を知ったのです。以降は負担の少ない製品を選んでいましたが、全成分の表示が義務化されると、新たな疑問も抱くようになりました。それからは、肌にとって本当に必要な成分は何かを模索する日々が続いています。また、同じ頃、口にするものも有機栽培の食材へと切り替えました。すると、肌やカラダの不調がおさまり、内側をととのえることの重要性を体感したのです。

──ご自身の経験からブランドを始めたのですね。
その前にカイロプラクターに転向します。ただ、私は30歳以降の人生プランを描いていませんでした。なぜなら、ノストラダムスの予言を信じていたから(笑)。しかし人類は滅亡せず、気づけば母にもなっていました。若いままではいられない現実に直面し、加齢に抗う決意をしたのです。オーガニック志向とエイジングケアを融合したブログ『アンチエイジングの鬼』をスタートさせます。自然派化粧品や腸内環境について発信するなかで、海外製品の香りの強さや油の酸化などが目につくようになりました。でも、自分では作っていないので、妥協せざるを得ないという壁に当たります。そこからナチュラルアンチエイジングを極めたいという気持ちがたかぶり、コスメの開発を行うことにしました。

──とはいえ、簡単につくれるものではありませんよね?
はい。2000年代初頭に国内で入手できる無農薬栽培の原料はオイルと精油くらい。千葉で借りた畑では鍬(くわ)で土を耕し、ハーブを植えました。さらに静岡県の有機ハーブ農園を訪ね、自ら購入した植物からエキスを抽出したこともあります。ここから全国各地の無農薬栽培農家に会いに行く日々が始まりました。私が国産にこだわるのは、新鮮さを重視しているからです。植物の力を最大限に活かすには、近場のものがいいと考えています。

日本の生産者と伴走するために、独自の「10の約束」を制定

──『アムリターラ』の誕生当初と比べて、取り巻く環境は変化しています。
立ち上げ時、オーガニックコスメとは無縁の工場に製造を依頼しました。私の話を親身に聞いてくださった担当者が可能性を感じてくれたのか、オーガニックコスメに舵(かじ)を切りました。それがきっかけで日本で初めてエコサート(仏で設立した世界最大規模の国際有機認証機関による、厳格なオーガニック基準をクリアした証)の工場認証も取得されたんですよ。

──まさに、パイオニアですね。
信念に共感してくださる方々に出会えたおかげです。『アムリターラ』はエコサートを取得する代わりに、カテゴリーごとに10の約束を制定しました。化粧品部門の1項目は「植物原料(オイル、エキス、精油など)の80%以上は自然栽培、野生ならびに栽培時の農薬・化学肥料や収穫後のポストハーベスト農薬は使わないものを用います」と宣言していますが、実際にはほぼ100%を守り、トレーサビリティも公開しています。

──どうして国際的に信頼度の高いエコサート認証ではなく、独自のルールなのでしょうか?
日本の農家さんとともにものづくりがしたいからです。海外の認証を取得してしまうと、未認証の原料は使えなくなります。私は国内の有機農業を盛り上げたい。顔が見える関係を築いていれば、信頼は積み重ねられます。

──ポリシーを貫く姿勢に頭が下がります。
ありがとうございます。農家さんから仕入れたものは、余すところなく使う。それはメーカーの責任だと思っています。例えば徳島県の「神山 すだち果汁」の製造で残った皮を精油にし、化粧品に活用する。こんなふうにジャンルを横断できるのは、外と内の両軸で美を追求しているからこそ。ちなみにすだちは新規就農者をサポートするNPOから紹介いただきました。製品化することで、里山再生の一助になれたらうれしいですね。

──生産者とはどうやって出会うのですか?
ブロガー時代に知り合った方々に助けられています。発信をきっかけに製造元から連絡をいただくことも増えました。いずれも昔ながらの製法で手間ひまかけたものづくりをされていて、スタンスも同じなので気が合います。起業時に原料の生産者を探していると伝えると、次々と取り次いでくださいました。

──勝田さんが本心で推すものだけを載せていたので、信念が同じ方々が集まるのは必然かもしれません。九州に自社農園もお持ちだとか。
はい。縁をつなぐという視点でも、初代農場長の存在は大きいです。東京から移住するスタッフに畑を任せたんです。人懐っこい彼は地元の農家さんとすぐに仲良くなり、協業の話も増えました。

──自然と輪が広がっていったのですね。
そうですね。接点がなくても、気になるものを見つけたら、まずは生産者に会いに行きます。「在来種 鶯宿梅 三年漬梅干し」はその好例です。宮崎県で半世紀以上にわたって古来種の梅を育てている徳重文子さんを訪ねて、栽培にかける想いをお聞きしました。そしたら、共感するエピソードばかりですぐに意気投合したものです。梅干しだけでなく、エキスなどもラインナップしています。少量生産の食品を扱うのは商売の面だけを考えると、リスクが大きい。でも、これは健康と農業を守るうえで大事なことなので続けていきます。

配信元: marie claire

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