アキラさんの頭をよぎった“ごもっとも”な疑念
「これ、俺が間違いを見つけて申請しなかったらどうなっていたんだ……?」
アキラさんはこの件以降、「日本年金機構から届くハガキや書類はどこか間違っているかもしれないと疑ってかかろう」と、固く心に誓ったそうです。
発覚から約20年も…いまだ尾を引く「消えた年金問題」
みなさんは「消えた年金問題」を覚えているでしょうか。
これは過去の年金記録の管理方法に起因して発生した社会問題で、本来あるはずの年金記録が大量に照合できないまま放置されていたというものです。
発覚から約20年経ったいまも完全に解決したわけではなく、基礎年金番号への一本化後も、事務処理の誤りなどによる記録漏れが発生しています。
実際、日本年金機構の公表資料によると、2024年4月から2025年3月までの1年間で、1,126件の事務処理誤り等が確認されているようです。また、そのうち1人あたりの影響額が10万円以上となる案件は272件にのぼります。
[図表]事務処理誤りの影響額別内訳 出典:日本年金機構「事務処理誤り等(令和6年4月分~令和7年3月分)の年次公表について」
年金の記載漏れが発生する主な原因は、以下のとおりです。
・勤め先の会社が年金保険料を納付していなかった
・転職が多い
・結婚などで名前が変わった
記録漏れは決して珍しいケースではなく、誰にでも起こり得る問題といえます。
そのため、ねんきん定期便が届いた際には、内容をしっかり確認することが重要です。特に封書版には年金加入記録回答票が同封されていることから、加入履歴に空白期間が見つかった場合は、一度年金事務所などに相談してみるとよいでしょう。
年金は自分で守る…小さな違和感が大きな差に
年金制度は年々整備が進み、現在は国が一元的に管理しています。しかし、それでも毎年、一定数の事務処理誤りが発生しているのが実情です。
どれだけ仕組みが整っていても、最終的に処理を行うのは人であり、ミスが完全になくなることはないでしょう。
だからこそ、ねんきん定期便が届いた際は“ただ受け取るだけ”で終わらせず、加入履歴や記載内容を一つひとつ確認することが大切です。
辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表/CFP
