※本記事は、ひろゆき著『人生の正体 生きること、死ぬこと』(徳間書店)より抜粋、編集したものです。

◆幸福とは何か?
資本主義社会は、メディアを通じて「お金をたくさん使うこと」=「幸せ」という価値観を刷り込んできた。新しいクルマを買えば幸せになれる。高級レストランで食事をすれば満足できる。ブランド品を身につければ自信が持てる。
でもそんなものは一種の宗教にすぎない。幻想だ。
ノーベル経済学賞を取ったダニエル・カーネマン(1934~2024=イスラエル・米国)らが2010年に発表した研究論文によると、年収7万5000ドル(当時の為替レートで、日本円にして700万円弱)程度で、幸福度は「頭打ち」になるという。
つまり、収入が増えるほど幸せも比例して増える……という単純な話ではない、ということだ。
さらに最近の研究では、幸福度を構成する要素はかなり多岐にわたることもわかってきた。経済的側面だけでなく、感情的側面や時間的側面なども複雑に絡まり合っていて、お金の尺度はあくまでその一部にすぎないのだという。
お金がないせいで日々の暮らしにしんどさを感じている人は、収入が増えれば幸福度は上がりやすい。家賃や食費の心配が減って、生活にゆとりが生まれる。
◆お金以外のQOL
逆に、もともとお金に不自由していない人はどうか。焼肉店で「和牛A5ランク」と書かれたメニューをお腹いっぱい食べたとする。これで十分幸せな気分に浸れているのに、最後のとどめとばかりに「特選松阪牛の1日3皿限定シャトーブリアン」を追加注文したところで、幸福度はさして上昇しない。
収入が一定のラインを超えたら、だいたいこれと同じことが起きる。
もちろん、人間の強欲には際限がない。だけど、お金と幸福の相関関係は人によってバラツキもある。幸福度を左右するのはお金の量だけではなく、周囲に信頼できる友人やパートナーがいるかどうかだろう。お金以外のQOL(Quality of Life=生活の質)が肝心なのだ。

