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ランチは1万円、移動はタクシー…〈年金月28万円〉74歳元金融マンが「9,000万円を90歳で使い切る」と浪費宣言をしたワケ

ランチは1万円、移動はタクシー…〈年金月28万円〉74歳元金融マンが「9,000万円を90歳で使い切る」と浪費宣言をしたワケ

日本の個人金融資産約1,700兆円のうち、約6割にあたる「1,000兆円」を60代以上の高齢層が保有しています。莫大なシニア資産の行方が社会問題となるなか、自身の資産9,000万円を「死ぬまでに使い切る」と宣言したシュウジさん(仮名・74歳)。しかし、その徹底した「使い切り」の姿勢ゆえに、娘とは絶縁状態に。元金融マンが家族と距離を取ってまで「残高ゼロ」にこだわる理由とは。

「9,000万円を90歳で使い切る」元金融マンの資産枯渇計画

都内のタワーマンションで一人暮らしを送るシュウジさん(仮名・74歳)は、かつて大手信託銀行で富裕層向けの相続コンサルティングを担当してきたプロフェッショナルです。

3年前に妻を亡くした71歳のとき、シュウジさんの手元には現役時代の蓄えや退職金を合わせた約9,000万円の金融資産がありました。金融機関勤めだったこともあり、年金受給額は月約28万円。マンションの管理費や修繕積立金、固定資産税に加え、基本的な生活費も年金だけでカバーできる状態でした。

ベースの生活が年金で担保されているため、9,000万円はすべて余剰資金となります。そこでシュウジさんは、このお金を「90歳でちょうどゼロになる」ように計算しました。

「9,000万円を71歳から90歳までの19年間、つまり228ヵ月で割ると、月に約40万円です。これを純粋な遊び代として計画的に取り崩して、使い切ることに決めたんです」

そう語るシュウジさんは、ちょっとした外出でも迷わずタクシーを使い、週に数回は妻とよく行った1万円以上するようなレストランでランチを楽しみます。月に一度は、少し高級な旅館へ泊まるといいます。

「資産として残る時計や車を買うより、“自分の経験や時間”に毎月40万円を使って死にたいと思っています。浪費に見えるかもしれませんが、私なりに考えた計画なんです」

「自分のお金は自分の代で使い切る」我が子とは絶縁状態

シュウジさんには現在45歳になる長女と、42歳になる長男がいますが、長女にこの「使い切り」の方針を伝えたところ、現在は絶縁状態になっているといいます。きっかけは、娘から孫の私立中学の受験費用や、マンション購入の話題が出たことでした。

シュウジさんが「自分のお金は自分の代で使い切る」と宣言した途端、ピタッと連絡が途絶えてしまったのです。

「口には出されませんでしたが、私の財産を計算に入れていたことが透けて見えて、少し悲しかったですね」

実の娘に1円の援助もしないというのは冷酷に思えますが、シュウジさんには、多くの資産家の家族を見てきたからこその「ある確信」がありました。仕事を通じて、親が残した遺産が子の自立心を奪い、きょうだいで血みどろの争いに発展するケースを嫌というほど目の当たりにしてきたからです。

「遺産がゼロなら、最初から争いようがありません。自分たちの人生は自分たちで何とかさせる。それが、親としての最後の責任だと思っています」

「財産を残さない」というシュウジさんの決断は、今まさに資金を必要としている娘からすれば、身勝手な浪費にしか見えないでしょう。しかし、死後に愛する子どもたちが骨肉の争いを繰り広げるリスクを未然に防ぐための行動だとすれば、その「使い切り」の美学には、どこか説得力が宿っています。

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