ヤツデ、トケイソウなど ブルーの花瓶
フィンランドから持ち帰ったヴィンテージの器に、ヤツデの実とトケイソウ、センニンソウを合わせた。「いろいろな形のグリーンを合わせると形のコントラストがついて、グリーン一色でも全体として動きが感じられるアレンジになります」
バランスにこだわらず、花瓶の持つ力を味方につける。
「花瓶を選ぶとき、クリアなガラスなど無難なものを選びがちだと思うんです。でも、実はそれだと花だけで表情をつくらないといけないので、逆に難しくなってしまいます」と、市村美佳子さん。すすめるのは、力強い個性を持った器。今回は、ピンクやブルー、オレンジなど色のある花瓶でのバリエーションを教えてくれた。
「お洋服と一緒で、例えば赤のマフラーって差し色にもなって、すごく便利じゃないですか。そういうふうにコーディネートする感覚で花を選ぶとまとまりやすいと思います。また、淡い色に淡い花色を合わせたり、淡い色と濃い色でコントラストをつけたりと、一つの花瓶でもさまざまな表情をつくることができます。今回の5パターンの組み合わせも、花瓶と花を入れ替えても成立する。器がちゃんと仕事をしてくれるんです」
さらに、花瓶に対する茎の長さをどうするかなど、ついバランスを考えてしまいがちだが、これも市村さんによると「バランスが取れれば取れるほど静かになってしまう。例えば小さい花瓶に茎を長くして生けたり、ボリュームをつけたりなど、アンバランスにするほうが動きが出て、生き生きして見えます」とのこと。
色のある器の力を借りて、型にとらわれずに生ける。家で花を楽しむときの、もっとも気軽に取り入れられるテクニックだといえそうだ。
市村美佳子『緑の居場所デザイン』主宰
いちむら・みかこ 大学卒業後〈ロイヤル コペンハーゲン〉に入社し、店内の花装飾をきっかけに渡英。フラワーアレンジメントを学び、1994年に独立。2016年に屋号を「緑の居場所デザイン」と改称。大きな花装飾から一枝の花まで、植物がそばにある環境をデザインすることをテーマに活動。店舗装飾や雑誌・広告の他、花教室も主宰。東京都港区南青山6‒1‒6 03‒3406‒9883 教室の詳細はHP(midorinoibasho.jp)で確認を。
photo : Ryuichi Adachi edit & text : Wakako Miyake
合わせて読みたい
LIFESTYLE 2026.4.30 家のなかにも、庭を連れてくる。料理家・細川亜衣さんが大切に整えるふたつの庭。
LIFESTYLE 2026.5.2 暖色と植物が織りなす、いい関係。竹原果帆さんが暮らす、花と緑に囲まれた1LDK。
LIFESTYLE 2026.5.3 私にとっては〝名もなき〞グリーン。植物との自然な関わりを楽しむ、美術家・maisさんの住まい。
INTERIOR 2026.5.17 New 印象深い柄が、花との相乗効果をもたらす。『LAND』店主・川村あこさんに学ぶ、花と器の組み合わせ。

Life with Flowers & Greens / 花と緑のある暮らし。&Premium No. 150
花や草木の息吹に心がほどける、気持ちのよい季節がやってきました。ふかふかの土を触り、みずみずしい若葉に触れ、ほころんだ花の香りを深く吸い込む。そんなとき私たちの心と体には、不思議と健やかな力が漲ってくるように感じます。大きな庭がなくてもいいのです。部屋にささやかな一輪の花を飾り、ベランダで小さな鉢植えを育ててみることから始めてみてください。そこにはたくさんの発見と喜び、そしてときにはその姿に「生き方」を教わるような体験までもがつまっています。今号の特集は「花と緑のある暮らし」。植物との心地よい日々を楽しむ10組の住まいや、フローリストに学ぶ花と器の組み合わせ、花を愛したアーティストたちの物語、プロの園芸家がすすめる道具、など、植物との暮らしを快適にするヒントが満載です。
andpremium.jp/book/premium-no-150

