
日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを、第一園芸のデザイナー・志村紀子がご紹介します。
2026年5月21日から二十四節気は小満に
その名のとおり、“小さく満ちる”という意味を持ち、生命が静かに満ちていく季節を表します。
初夏の日差しはまだやわらかく、風の匂いにも青さが残るころ。
街路樹の緑は日に日に濃さを増し、草花も光と風を受けながら、のびやかに揺れています。
そんな小満の季節に似合うのが、鈴のような姿が愛らしい「グリーンベル」です。
軽やかな色と佇まいは、派手さはないものの、空間に風を通すような存在感をもたらし、そんな魅力を生かした花あしらいをご紹介します。

緑の魅力を引き出す
グリーンベルのフレッシュなイエローグリーンと愛らしいフォルムを、同系色の花材で際立たせた、ユニークで楽しい花あしらいです。
主役の花と近しい色を集めて飾ることで、形や質感の違いが浮かび上がり、それぞれの個性がより際立ちます。

この花あしらいでは、シンプルな円形のガラス花器に「姫リンゴ」を詰め、その中に水を入れた試験管を忍ばせて、グリーンベルや「ビバーナム」を挿しています。
一見すると凝った印象ですが、実は手軽に取り入れられる方法で、思いがけない組み合わせから花の新たな楽しみ方が広がります。

グリーンベルと同系色の「ラグラス」「ニゲラ」「レースフラワー・グリーンミスト」を組み合わせ、初夏の野のような景色を表現しました。
口径の広い花器にゆったりと生けることで、軽やかな印象に仕上げています。

広口の花器に対して、茎の細い草花を安定させるため、花器の中に取り出し可能なサイズのグラスを入れています。
透明なガラス同士を重ねることで見た目に違和感がなく、花材も安定して固定できます。

初夏が旬の「バラ」を加えた花あしらいです。
淡い黄色のスプレーバラとラグラスで、グリーンベルにやわらかな彩りを添えました。
草花の上にすっと伸びる華奢な姿を活かすため、横に広がる花器を選んでいます。

色合わせを楽しむ
同系色の組み合わせから一転して、色鮮やかな花々と合わせました。
まるで炎のような存在感を持つ「グロリオサ」と、繊細なグリーンベルが不思議と調和した花あしらいです。
印象の強い花材も、グリーンベルを添えることで、やさしい表情へと変化します。

淡い紫の「トルコギキョウ」との組み合わせです。
ボリューム感のあるトルコギキョウは茎が見えない長さで生け、花器のおよそ2倍の長さのグリーンベルを添えました。
線と面、色のコントラストを活かせるのも、グリーンベルならではの楽しさのひとつです。

最後にご紹介するのは、色鮮やかなスプレー咲きの「カーネーション」に、ビバーナムと「モルセラ」、そしてグリーンベルを組み合わせた花あしらいです。
グリーンベルの鈴のような姿と白い花弁が加わることで、全体がいきいきとした表情へと変わります。
繊細な花でありながら、一輪でも静かに存在感を放つのも、この花の魅力。
ぜひ、初夏のこの季節に、お好みのスタイルでグリーンベルを楽しんでみてください。

