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行政指定の「セットバック」で評価の“対象外”に…相続税が減額できる宅地を知ろう【税理士が相続財産の「宅地」評価を徹底解説】

行政指定の「セットバック」で評価の“対象外”に…相続税が減額できる宅地を知ろう【税理士が相続財産の「宅地」評価を徹底解説】

形状を理由に減額できるケース2.間口が狭小な宅地

吉田課長「他に、減額できる宅地はありますか?」

はい。次に紹介するのは、間口が狭小な宅地等の評価です(下記8)。

8.間口が狭小な宅地等(財産評価通達20−4、付表6、付表7)

間⼝が狭⼩で奥⾏が⻑⼤な宅地(不整形地及び無道路地を除く)は、財産評価通達15(奥行価格補正)から18(三方又は四方路線影響加算)までの定めにより計算した1平方メートル当たりの価額に、間口が狭小な宅地等の補正率を掛けた価額による。

間口狭小補正率は「間口距離」に応じた、奥⾏⻑⼤補正率は「奥行距離/間口距離」
の割合に応じた各路線価地区ごとに定められたそれぞれの割合をいう。

間⼝狭⼩補正率×奥⾏⻑⼤補正率=間⼝が狭⼩な宅地等の補正率

(例) 普通住宅地区で間口距離が4m以上6m未満の間口狭小補正率は0.94。普通住宅地区で「奥⾏距離/間⼝距離」の割合が2以上3未満の奥⾏⻑⼤補正率は0.98。この場合の間口が狭小な宅地等の補正率は、0.9212(0.94×0.98)になる。

宅地が長方形や正方形であっても、間口が短い・奥行が長い土地は利用効率が悪いと判断され、評価額を引き下げる仕組みになっています。

評価の流れとしては、

1.奥行価格補正などを行い、調整後の路線価を求める

2.「調整後の路線価×地積」で基礎となる価額を計算

3.その価額に「間口が狭小な宅地等の補正率」を掛けて減額

という手順です。間口狭小補正率と奥行長大補正率の具体的な割合は、上記8の例をご覧ください。

形状を理由に減額できるケース3.がけ地

吉田課長「私の実家の裏側は、がけで斜面になっている部分があります。この場合も減額の対象となりますか?」

斜面の部分も宅地の地積に含まれますが、この部分は通常の用途に使えないことが多いですよね。このような部分を「がけ地等」といいます(下記9)。がけ地がある宅地も、相続税評価額が減額されます。

9.がけ地等を有する宅地(財産評価通達20−5、付表8)

がけ地等で通常の用途に供することができないと認められる部分を有する宅地の価額
は、次の算式により計算する。

がけ地等がないものとした場合の宅地の価額×がけ地補正率(注)=評価額

(注) がけ地補正率……付表8「がけ地補正率表」で定めている。この表は、がけ地の方位を「東⻄南北」の4つに区分し、「がけ地地積/総地積」の割合(がけ地割合)が、0.10以上から0.10きざみで0.90以上の9段階に区分し、それぞれのがけ地補正率を定めている。

(例)

1.がけ地部分の地積が50m2、がけ地でない部分の地積が150m2の場合

がけ地割合=50m2÷(150m2+50m2)=0.25

2.がけ地の方位が「南」でがけ地割合が0.20以上0.30未満の場合
がけ地補正率=0.92

「がけ地等」がある宅地は、まずがけ地がないものとして評価額を計算し、その後、がけ地補正率を掛けて減額するという仕組みになっています。

がけ地補正率は、前掲4の路線価地区とは関係なく、がけの方位とがけ地割合だけで決まります。具体的な補正率の見方は、上記9の例(1)(2)をご確認ください。

法規制を理由に減額できるケース:セットバックが必要な土地

吉田課長「友人から、『自宅を建て替えるときに敷地の一部を市に道路として提供しなければならない』という話を聞いたことがあります」

それは、道路幅が狭くセットバックが必要な宅地のことですね(下記10)。このセットバックが必要な土地も、評価額が減額されます。

10.セットバックを必要とする宅地の評価(財産評価通達24−6)

すでに建物が建っている幅員が4メートル未満の道路に⾯する宅地で、市町村⻑⼜は都道府県知事(特定行政庁)が指定する道路(建築基準法42条2項)に面している宅地のうち道路沿いの部分は、将来、建物の建替え時等に道路として使用するために提供しなければならない。

このようなセットバックを必要とする宅地については、次の①〜⑤の順序で評価する。

①その宅地が面する路線価を奥行価格補正などで調整し、調整後の路線価を計算す
る。

②①の調整後の「路線価×地積」で、セットバックがないものとした場合の評価額を計算する。

③将来、建物の建替え時等に道路として提供しなければならない部分(セットバック部分)の地積を計算する。

④セットバックを必要とする部分に対応する減額分を計算する。

⑤②の評価額から④の減額分を差し引いた金額が、最終的な評価額となる。

幅員4m未満の道路は、建築基準法上、道路幅を確保する必要があります。そのため、行政が指定した「セットバックが必要な道路」は、建替え時には宅地の一部を道路として提供しなければなりません。

道路として提供する部分には、宅地としての価値はないため、上記①〜⑤の手順で計算した金額を、相続税評価における時価とします。

路線価がついていない土地には「倍率方式」を用いる

吉田課長「ここまで、路線価方式についてよくわかりました。では、もうひとつの『倍率方式』はいつ使うのでしょうか?」

はい。倍率方式は、路線価方式が適用されない土地に使う評価方法です。どの地域が倍率方式の対象になるかは、路線価図・評価倍率表で確認できます。

倍率方式では、「固定資産税評価額×国税局長が定めた倍率」で評価額を求めます(前掲2(2))。したがって、路線価方式のように土地の形状や地積によって評価額が変動することはありません。

土地の評価に必要な書類

吉田課長「では最後に、土地の評価にあたって必要な書類を教えてください」

土地の評価では、次の資料を揃えます(カッコ内は入手先)。

■路線価方式で評価する場合

(1)土地の実測図(分譲業者からの購入時の資料、法務局)

(2)土地の登記簿謄本(法務局)

(3)市街図(インターネット、地図)

(4)路線価図(国税庁ホームページ)

■倍率方式で評価する場合

(1)固定資産税の評価証明書(市役所・町村役場、東京都23区は都税事務所)

(2)土地の登記簿謄本(法務局)

(3)土地の評価倍率表(国税庁ホームページ)

多田 雄司

税理士

提供元

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