◆異常気象と物価高が後押しする「一般向け製品需要」
2020年ごろのアウトドアブームによる追い風もあり、ワークマンの機能性が高く低価格の商品は消費者の心をつかみ、一般衣料での存在感を発揮するようになりました。しかし、ワークマンの商品はアウトドア用のジャケットなど、季節性の影響を受けやすく、買い替え頻度が低い商材が多いという課題がありました。リピーターの獲得に苦戦していたのです。機能性の高いインナーの開発には早くから力を入れており、2024年には「シン・呼吸するインナー」といった売れ筋商品が生まれていました。しかし、この商品はユニクロの「エアリズム」に近く、爆発的な大ヒット商品には至りませんでした。そうした中、「メディヒール」が誕生したのです。この商品はリピーター獲得の潜在性を十分に有しています。
ワークマンは「メディヒール」以外にも、機能性の高い商品を次々と開発しています。「Xshelter」は遮熱率が高く、寒さ暑さや大雨の影響を遮断する着る断熱材とも言えるもの。紫外線をカットする高機能衣料も扱っています。日本は猛烈な暑さに見舞われるようになりました。突然のゲリラ豪雨に襲われることも多く、気候の変化の速さはかつてないほど。そして、物価高によって節約傾向が高まっています。ワークマンのような機能性が高く、低価格な商品が売れる下地が整っているのです。
ワークマンは2025年5月に発表した「中期成長ビジョン」にて、2026年度から2028年度の注力領域を「出店攻勢・一般向けマス製品開発」と位置づけていました。今期は36店舗の純増で1130店舗に達する見込み。「ワークマンプラス」と「Workman Colors」のみの新規出店を計画しています。「メディヒール」のヒットで「出店攻勢・一般向けマス製品開発」が噛み合い、成長に向けて走り出しました。
中期経営計画で掲げている2030年度の目標店舗数は1300。2026年度は計画を上回る出店数を予想しており、前倒し達成も視野に入ってきました。作業着チェーンで堅実に成長してきたワークマンが変貌を遂げようとしています。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

