2人のプロフェッショナルがこだわり抜いたポイントとは?

約20年にわたりガーデンファンにも愛されてきた「名古屋港ワイルドフラワーガーデン ブルーボネット」。設備などの更新時期を迎えたことを機に、今の時代に合ったガーデンにアップデートするため、今から約5年前、リニューアル計画が発足しました。プロデューサーは、日本初の女性樹木医であり環境緑化コンサルタントや植物園の再建に携わる塚本こなみさん。ガーデンデザイナーには、日本と英国の両方で造園を学んだ気鋭のデザイナーの小倉珠子さんが選ばれ、リニューアルのプランが託されたのです。

まず2人が考えたのが、環境に配慮した「ナチュラリスティック・プランティング(自然風植栽)」の考え方を色濃く取り入れた、サステナブルなガーデンにすること。一般的な庭園では、一年草の花が終わるとすぐに新しい花に植え替えていますが、ここでは基本的に植えっぱなし可能な宿根草をメインに植栽されています。

宿根草なら、基本的に開花が終わっても植え替える必要がなく、水やりや肥料も比較的少なくて済み、サステナブル。切り戻した植物を堆肥化して土に戻すなどの取り組みも行います。気候変動が激しい今の時代に合わせたガーデンづくりです。「ナチュラリスティックな庭づくりは、ヨーロッパではすでに根付いている考え方ですが、日本はまだ取り入れている場所は少ないです」と小倉さん。

植え替えをしない宿根草とグラス類は、花以外の時期も楽しめる利点もあります。植物の株姿や花形、そしてシードヘッド(種子がついた状態)が楽しめます。小倉さんは、フォルムなどが造形的な植物を積極的にセレクト。植物の「芽吹きから枯れる」までのライフサイクルすべてを「美しさ」として捉え、植物本来の魅力を見出すことができるように、デザインをしています。「ガーデン全体を、アートを観るように楽しんでもらいたい」と言うように、グラウンドデザインもナチュラルながらも造形的なラインを描き、モダンで洗練された空間に仕上げています。また、地元の愛知県立芸術大学にも声をかけ、コラボアート作品も点在させました。花の美しさを求めるだけでない、一歩先ゆく新しいデザインが盛り込まれています。

「メグラスガーデン ナゴヤ」を楽しむ8つのポイント
① 宿根草のありのままの表情を楽しむ
華やかな一年草とは異なり、花の芽吹きの様子から開花、そして、花が枯れた後のシードヘッドや、冬の茶色くなった茎や葉をそのまま残して楽しめる宿根草を多用しています。ぜひ、植物のトゲトゲ、フワフワなどの個性的な造形も観察してみて。

② しなやかなグラス類を楽しむ
オーナメンタルグラスも積極的に用いています。たなびく穂が季節の風を感じさせてくれるほか、植栽をナチュラルに、時にはドラマチックに演出してくれています。ぜひグラスの魅力を感じてみて。

③ 多様な混植
1カ所に1種の植物をまとめて植えるのではなく、異なる種類の植物を複雑に混ぜ合わせて植えることで、野生の植物群落のような奥行きと複雑な色彩を生み出しています。花の色形で織りなす表情豊かな風景をぜひ味わって。

④ ランドスケープの造形を感じる
ガーデンの手前側はモダンに、奥に行くにつれトラディショナルな趣に変化させています。ウッドデッキ付近からガーデン奥方向を眺めると、流れを軸に両脇から次々に花壇が折り重なるように出現し、視点を奥へ奥へと導いています。のびやかさをもたらしながら、心地よく歩みを進められるための工夫です。ぜひ視点を引いて、ガーデン全体を眺めてみて。

⑤ 季節で花のボリューム感が異なる
春の初めの愛らしい春咲き球根類からスタートし、膝ぐらいの高さだった草花は、夏になると腰、肩、そして背丈ほどに成長します。年々成長しながら季節ごとに風景は異なるので、ぜひ季節を変えて毎年訪れてみて。

⑥ 没入感を楽しむ
高低差のある斜面や列植に囲まれた場所にいると、花に包まれた感覚が味わえます。ぜひ日常を忘れる時間を過ごして。

⑦ ベンチに座る
ベンチは休むためのものだけでなく、点景物のような効果をもたらしています。また、ここぞという風景を見てもらいたい場所にも置いています。さらに、ベンチの素材にも工夫があり、マシュマロのような質感のユニークなベンチもあります。ぜひあちこちで座ってみて。

⑧ オーナメントを探す
園内には、さまざまなストーリー性あふれるオーナメントが、庭に寄り添うように配されています。小倉さんが何度も工場に足を運び、フォルムや色にこだわり抜いた瀬戸焼の「鳥のオブジェ」は、名古屋港を背景に親子の鳥たちがひと休みしているよう。愛知県立芸術大学とのコラボレーションから生まれた、BIRD・RABBIT・HORSE・HUMANと名付けられた4つのオブジェも点在。ぜひお気に入りを探してみて。

