◆直前の”替え玉”が事の発端か?
政治に関する主張は、時に大騒ぎを引き起こすデリケートな話。過去を見渡しても、政治的主張の行き違いが凄惨な事件を引き起こした例は数多い。それにも関わらず、どうして運営委員会は催しを許可したのでしょうか。
「運営の代によって、価値判断が異なりますから、今年の代は神谷氏の招聘をOKしたということなのでしょう。仮に私の代ならば、恐らく可燃性の高さを見越して企画中止をお願いしたと思います。
とはいえ、政治家を呼ばないわけではありません。過去には自民党から共産党まで、様々な主張を持つ方をお呼びして講演をお願いしてきました。一概に、この主張は可燃性が高いと判断する指標が存在するわけではないのです。
それに、『本来は別の政治家をゲストとしてお呼びするはずが、なぜか直前になって神谷氏に変更された』とも聞きました。
もしこれが本当なら、運営委員会は神谷氏の招聘を想定して実施許可を出したわけではなさそうです」
◆“子ども”に振り回された東大生たち
一概に運営委員会に責任があるとも言い切れない本事件ですが、それでも今回お話を伺った学生たちはみな憤りを隠せない様子でした。中でも、サークルの発表のために訪れていた東大4年生のSさんは、「これは確実に東大生の犯行ではない」と断言します。
「今回の騒ぎは、講演を企画した『右合の衆』という団体に爆破予告が届いたことがきっかけでした。確かに、政治思想についてはみな思うところがあるでしょうし、譲れない部分があることもわかります。
とはいえ、爆破予告のような野蛮極まりない形で抗議の意を示すのは、あまりにも幼稚すぎる。明らかに常軌を逸した暴力的手段であると、まともな常識を持っているならばすぐにわかるでしょう。
そもそも、政治議論は、あくまで”議論”であり、言論によって相対すべき。将棋で勝てない相手がいるからって、盤ごとひっくり返して殴り掛かったら、それはダメでしょう。
こんな強硬手段に訴えた事実自体が、犯人には言論技術を磨いて主張を通す実力もなければ、そうなるための向上心もなく、別の文化的態度で抗議の意を示すようなウィットもないと示しているんです。
東大に入るならそれなりのお勉強や自己研鑽も必要ですから、こんなに精神年齢が低くないでしょうし、お勉強ができないわけもない。
まぁ、完全部外者に潰されたわけですから、こっちはいい迷惑ですね」(Sさん)
実害を受けた東大生たちでしたが、野蛮かつ幼稚な講義手段に対して、極めて冷静かつ理知的な態度で対応していました。
確かに金銭的、体力的な損失こそ免れなかったものの、今回の一件で「どちらが本当に大人だったか」については、決着がついたのかもしれません。
<取材・文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
著述家、教育ライター。 一般財団法人「ドラゴン桜財団」評議員。 1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を編み出し、一浪の末東大合格を果たす。著書に最小コストで結果を出すノウハウを体系化した『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』など。株式会社カルペ・ディエムにて、お金と時間をかけない「省エネスタイルの勉強法」などを伝える。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

