運用益の数字に安心している場合ではない
高市早苗首相は1月31日に円安について、「外為特会の運用がホクホク状態だ」と発言した。
実際、会計上の数字だけを見れば、その指摘は間違いではない。
政府が保有するドル資産は、円高時代に取得されたものであり、現在の1ドル=150〜160円という歴史的な円安水準で売却すれば、その差額は大きな為替差益(キャピタルゲイン)となる。
さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のため高金利政策を維持していることから、外為特会が保有する米国債の利回りも高止まりしており、運用益(インカムゲイン)も膨らんでいる。
しかしこの利益は、日本経済が強くなった結果として生まれたものではない。
むしろ、日本経済の弱体化の裏返しとして生じている側面が大きいのだ。
政治家が帳簿上の利益を誇る一方で、国民生活と国内経済は、長期化する円安によって確実に疲弊している。
日本企業の9割以上を占める中小企業は、円安による原材料費やエネルギーコストの上昇に苦しみ、その負担は最終的に実質賃金の低下という形で国民へ跳ね返っている。
つまり、「時間稼ぎ」によって得られた帳簿上の利益に、「ホクホク」している余裕はないはずなのだ。
政府や日銀が本当に取り組むべきなのは、その「時間稼ぎ」の間に、日本経済の現実を直視し、持続的な成長力を取り戻すための抜本的な政策を実行できるかどうかである。