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多額の資産があっても“相続できない”――日本の相続税制度が抱える現実【税理士が解説】

多額の資産があっても“相続できない”――日本の相続税制度が抱える現実【税理士が解説】

日本の相続税は世界的に見ても特殊

日本の相続税は、国際的に見ても非常に特徴的です。

たとえば米国では、約1,500万ドルまで相続税がかからず、夫婦であればその倍近い控除があります。さらに、配偶者への相続には原則として上限なく非課税措置が認められています。

一方、日本では、基礎控除を超えれば一般家庭でも相続税が発生する可能性があります。都市部では不動産価格の上昇もあり、「自宅と預金だけで課税対象になる」というケースも珍しくありません。

また、日本では非上場株式や不動産についても国が細かく評価額を定めています。路線価方式による土地評価などは海外にはあまり見られない制度であり、納税者側からは「実勢価格とかけ離れている」との不満も根強くあります。

さらに、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、マレーシアなど、相続税そのものが存在しない国もあります。シンガポールやイタリアなどは、富裕層誘致の観点から相続税を抑える政策を取っています。

生きている間も、亡くなった後も課税される日本

日本では、所得税・住民税で高い税率が課され、さらに亡くなった後には相続税が課されます。

こうした構造については、「すでに所得税を支払った財産に再び課税している」という“二重課税”論も以前から存在しています。

もちろん、所得再分配や格差是正という観点から相続税を支持する意見もあります。ただ、現在の制度が「資産承継を妨げるほど重い負担になっていないか」という議論は、今後さらに必要になるでしょう。

特に中小企業オーナーの場合、自社株への課税が事業承継を困難にし、結果として廃業や外部売却につながるケースもあります。

相続税は単なる「富裕層課税」の問題ではなく、日本経済や企業承継、さらには国内資産の流出にも関わるテーマになりつつあるのです。

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

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