「イカした横文字」は、販売側のマーケティング戦略に過ぎない
そもそもなぜ「コア・サテライト戦略」が、いつの間にか個人の投資戦略として推奨されているのでしょうか。それは、なんだかスマートでイカす横文字で概念的にも理解しやすいという点にあるかもしれません。元来、コア・サテライト戦略はプロの機関投資家のための戦略であり、個人にそのまま当てはめるには無理があります。その理由は主に以下の三点。
1.個人の資産全体をみれば、インデックスでも十分「攻め」である
機関投資家と違い、個人の資産には「普通預金」「保険」「自宅不動産」といった、変動の少ない大きな「守りの資産」がすでに存在します。これらが真のコアです。そう考えると、変動の大きい株式インデックス投資自体が、すでに十分なサテライト資産なのです。そこからさらにリスクを重ねる必要が本当にあるのでしょうか。
2.プロの8割がインデックスに負けるという現実
コア・サテライト戦略は1980年代に機関投資家に広がったといわれる40年以上も前の古い戦略です。いまではアクティブファンドのプロでさえ、8割以上が長期でインデックス(市場平均)に負けるといわれています。片手間で投資をしている個人が、プロでも見極められない「インデックス超えの銘柄」をチョイスできると考えるのは、いささか傲慢といわざるを得ません。
また、キツい言い方かもしれませんが、サラリーマンとして一流で出世頭だったとしても、それはせいぜい狭い会社のなかでの話で、競争相手は同じレベルです。対して投資の世界の競争相手は世界の一流大学で金融工学などを学んだエリートたちが、超高性能なコンピュータを駆使して取引を行う世界だということを知っておくべきでしょう。
3.煽り文句は、商売上の都合
コア・サテライト戦略を推奨する多くは販売サイドの金融機関やアクティブファンドの代表です。彼らがこの戦略を推す理由は明快。個人投資家が手数料の安いオルカンなどのインデックスファンドばかりを選べば、彼らの商売が干上がってしまうからです。「インデックスは思考停止」という言葉は、あなたを思っての助言ではなく、彼らのマーケティング戦略なのです。
投資の神様が勧める「インデックス投資」
投資の神様、ウォーレン・バフェット氏は長期にわたりインデックスを凌駕したパフォーマンスをあげてきましたが、彼が個人投資家に低コストのインデックスファンド(この場合はS&P500)への投資を勧めているのは有名な話です。
投資の神様と、インデックスにすら勝てないファンドマネージャーや金融機関。どちらのアドバイスを選ぶべきかは明白でしょう。しかし、多くの人が後者に惑わされてしまうのは、後者のアドバイスに「あなたの利益」よりも「自分の商売(ノルマや手数料)」が多分に混じっている事実に気づいていないからです。彼らにとって、投資家が低コストなインデックスファンドを選ぶことは、自分たちのビジネスが儲からないことを意味します。この構造的な利害対立に気づかなければ、せっかくの新NISAでの成功も遠のいてしまいます。
もし、どうしてもサテライトで自分の力を試したいというのであれば、それは勉強のため、あるいはギャンブル枠として総資産の1割以下の比率に留めるのが賢明です。一流のサラリーマンだったとしても、投資の世界では、世界中のエリートや最新のAIを相手に戦わなければなりません。自分が市場平均に勝てない「三流以下の凡人」であることを自覚した瞬間から、本当の資産形成が始まると私は考えます。
凡人投資家Gekko(ゲッコー)
サラリーマン兼業個人投資家
