◆フルローンで家購入も「売ればいいと思ってた」
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「国も金融機関も住宅購入を後押しし“借りられるだけ借りて買ったほうが得”みたいな空気が社会全体にありました。最初の10年は返済額も低く、住宅ローン減税もあったので家賃より安いくらいでしたね。15年くらいで売ればいいとも思っていたし、“何とかなるだろう”って、正直、深く考えていませんでした」
そのツケは、定年を前にした今になって重くのしかかる。
「修繕積立金を含めると、住居費は月18万円に上ります。役職定年で年収は下がり、今は550万円ほどです。大学生になる子供の教育費も重く、家計は毎月10万円近くの赤字。かつて低金利の際に借り換えも考えましたが、上司のパワハラで体を壊して住宅ローン団信(団体信用生命保険)に入れずできなかった。周りが低金利で借り換えていくのを、指をくわえて見ているしかなかったですね。これから基本給も年齢とともに下がっていくし、ローンもあと8年残っています。国も金融機関も最初だけ都合がよくて、助け舟なんて出してくれない。正直、“こんなはずじゃなかった”という気持ちは、そりゃあ、ありますよ」
◆昼時は散歩してお腹をごまかす日々
老後の生活不安も拍車をかけ、お昼時は職場が入る都内の高層ビル周辺をうろつく日々を送っているという。「ランチ1000円以内の店はないし、コンビニもこの物価高で馬鹿にならない。気を抜けば月3万〜4万円なんてすぐ飛ぶから、とてもじゃないけど食べられません。でもデスクに座っていると、同僚が『なんで食べないのか』と尋ねてくるんですよ。ばつが悪いから昼時は毎日散歩してお腹をごまかしています」
吉田さんのようなケースを、堀田氏は「楽観バイアス」と「正常性バイアス」が重なった典型例だと分析する。
「金利が上がることはわかっていたのに『なんとかなる』という根拠のない楽観と、『自分は大丈夫』という正常性バイアスが当時の判断を鈍らせてしまったのでしょう。また、将来の痛みを小さく見積もってしまう『双曲割引』という認知の歪みも働いています。一つひとつのバイアスは誰もが持つ些細なものばかり。ただ、それらが特定の状況下で塊となって作用すると、生活破綻リスクが高くなるわけです。一見、頭で考えていることは整理されているように思いがちですが、脳のワーキングメモリは意外と小さく限界がある。そのことをまずは理解し、見える形で紙に書き出す(ジャーナリング)ことが現状打破への第一歩です」
頭で考えればわかる。その感覚が、人を“貧乏の穴”へと足を踏み入れさせるのだ。
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言語学者。専門は法言語学。56万部のベストセラー『科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)ほか著著多数
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取材・文/週刊SPA!編集部
―[働いているのに…なぜか使えるお金がない![新型貧乏]の法則]―

