高市政権が発足してから憲法改正論議が急速に高まり、高市早苗首相は「改正発議」を「1年後」と区切る前のめりだ。その論議の焦点の一つになっているのが「緊急事態条項」だ。ところが、毎日新聞が2026年5月25日に公表した憲法改正の世論調査でその「緊急事態条項」について聞いたところ、「わからない」が38%で最も多かった。

緊急事態条項「わからない」と「必要ない」とで半数を超える
毎日新聞の世論調査は、緊急事態条項について「あなたの考えに最も近いのはどれですか」と質問している。もっとも多かった「わからない」に次いで「緊急事態条項を設ける憲法改正は必要ない」が29%だった。
これに対し、「内閣の権限強化を認めるべきだ」は15%、「内閣の権限を強化するとともに、国会議員の任期延長を認めるべきだ」が11%、「国会議員の任期延長のみ認めるべきだ」6%だった。憲法改正の是非については、聞いていない。
緊急事態条項は、自民党が検討する憲法改正項目のひとつで、外部からの武力攻撃や大規模な災害などの場合に、国会議員の任期を延長するほか、政府が緊急の政令を定めることを可能にするための改正だ。安倍晋三政権の時代に、憲法改正を目指す4項目として「自衛隊明記」などとともに提起され、高市早苗政権が引き継いだ。
橋下徹氏「憲法は何なのか理解していない国会議員多かった」
5月14日の衆院憲法審査会では、緊急時の国会議員の任期延長について、自民党が「概ね合意が得られる」と主張、日本維新の会などが早期の条文化を要求したのに対し、野党からは緊急時に政府の権限を強化する「緊急政令」に慎重な意見が相次いだ。
しかし、木村草太・首都大学東京教授(憲法学)は、「改正する必要はなく、乱用の危険が大きい」と断言する(共同通信)。
「現行憲法は、参院の緊急集会の制度を設けているから、選挙中に緊急事態が起きても議会は活動できる。法律の範囲で政令を定めることも既に認めている」という。逆に、わざわざ「緊急政令」を定めることは、「他の政令ではできないことをできる規定」として使われる危険がある、と木村教授は指摘する。
橋下徹・元大阪府知事・市長(弁護士)は、「憲法というものは何なのかを理解していない人たちが、国会議員に多いんだと衝撃を受けました」という。橋下氏は、現在連立政権を形成する「日本維新の会」の前身「大阪維新の会」を立ち上げた。安倍政権で集団的自衛権が議論された2018年に、木村教授と対談した共著「憲法問答」でそう語っている。
「維新の会の国会議員と話をして驚いた。議員なのに憲法の教科書で、薄いものすら読んでいない」と橋下氏は対談で話している。「維新の会では、リクルートのプロセス(議員候補への採用)で、憲法の知識を考慮していなかったんですか」と木村教授に問われたのに対し、橋下氏は「まったく考慮していなかったですね。正直、時間的余裕がなく、試験をやるほどのマンパワーもありません」と。ただ、その後設置された憲法審査会で議論が始まると、「すごい機能してきている。やっと政治家が憲法の議論をするようになった」(22年、フジテレビ)と期待を述べた。