物の名前が出てこなかったり、約束を忘れたり…。50代はもの忘れが気になってくる世代。だからこそ知っておきたいのが『認知症の分かれ道』と言われるMCI(軽度認知障害)についてです。将来の脳のために今できることを、認知症診療医に伺います。
教えてくれた人:今野裕之(こんの・ひろゆき)さん

医療法人社団TLC医療会ブレインケアクリニック名誉院長、一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長、医学博士。順天堂大学大学院卒。老化予防・認知症予防を専門とする。日本大学附属板橋病院・薫風会山田病院などを経て2016年にブレインケアクリニックを開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、患者一人一人に合わせた診療にあたる。著書に『最新栄養学でわかった!ボケない人の最強の食事術』(青春出版社刊)などがある。
MCI(軽度認知障害)は認知症の分かれ道
Q1.MCI(軽度認知障害)とはどういったものでしょうか?
A. 「脳の機能が健常な状態」と「認知症」の中間の段階をMCI(軽度認知障害)といいます。MCIは認知症と違い、若干の認知機能低下が見られるものの自立した生活を送ることができ、適切な対策によって健常な状態に戻る可能性があります。
現在は65歳以上の約8人に1人が認知症、約7人に1人がMCIといわれています。
Q2. 年齢を重ねれば、もの忘れが多くなるなどの変化は誰にでも起こると思います。「加齢によるもの忘れ」と「MCI」「認知症」は、具体的に何が違うのでしょうか?
A. 加齢によるもの忘れとMCI、認知症は似ている部分もあるので、見分けがつきにくい場合もあります。ただ、それぞれに原因や症状、進行の仕方などに違いはあります。

加齢によって脳の機能が衰えてきても、MCIの段階で対策を行えば、認知機能が改善したり、認知症の発症を遅らせられる可能性があります。
MCIは認知症との分かれ道。将来の脳の健康を守るためには、MCIの早期発見、早期対策が大切と言えるでしょう。
MCIのサインを見逃さないで
Q3. MCIや認知症への備えは何歳頃から意識するとよいのでしょうか?
A. 認知症と聞くと「自分はまだまだ先」と思いがちですが、脳は30 歳台をピークにだんだん萎縮していき、50歳頃から徐々に認知機能が低下すると言われています。
自立した生活を長く続けるカギは、脳の変化にいち早く気づくこと。まずは、以下のMCIのサインを確認してみましょう。
■MCIのサインチェックリスト
<普段の生活で見られるサイン>
□何度も同じことを尋ねる
□物の名前が出にくくなった
□よく知っている人の名前がすぐ出てこない
□約束を忘れることが増えた
□前日食べたものを思い出せない
□新しい家電の使い方を覚えるのに時間がかかる
□意欲が低下して趣味や外出に消極的になった
□身だしなみに気を使わなくなった
□薬の服用を忘れる頻度が増えた
<家事で見られるサイン>
□部屋が散らかるようになった
□決まった料理ばかり作るようになった
□料理の味付けが以前と変わったと家族に言われる
□賞味期限切れの食べ物が増えた
□同じものを何度も買ってしまう
□請求書の支払いを忘れるなどお金の管理が難しくなった
<外出先で見られるサイン>
□仕事でミスが増えた
□突然電車の乗り継ぎがわからなくなったことがある
1つでも当てはまる場合は、脳の機能が低下してきている可能性があります。自分で対策できる今のうちに、MCIの対策を始めましょう。

