◆<解説>安く買っても暮らしは安くない
地方移住や古民家購入は、都市部の住宅価格と比べると「安く手に入る老後の住まい」に見えやすい。だが、その判断が、思わぬ家計悪化や夫婦関係のひずみにつながるケースは少なくないという。財務コンサルタントの桜井潤一氏は、こう指摘する。「よくある失敗は、『物件価格だけ』で判断してしまうことです。実際には、古民家の修繕費で数百万円から1000万円超かかることもありますし、断熱性が低ければ冬の光熱費も大きく膨らむ。さらに地方では車2台が前提になることも多く、維持費や買い替え費用も見落としがちです。病院や買い物までの距離も、日々の生活コストとして効いてきます」
高橋さんのケースでも、購入時の高揚感に比べ、住み始めてからの現実ははるかに重かった。家そのものの取得費だけでなく、暮らしを維持するためのコスト、地域に溶け込むための負担、そして何より、夫婦の温度差が後からじわじわと効いてきたのだ。
桜井氏は、「安く買う」ことよりも、「無理なく住み続けられるか」という視点が重要だと語る。
「防ぐためには、『体験』と『対話』が不可欠です。可能であれば数か月の短期移住をしてみること。そこで実際の生活費をもとに、リアルな家計シミュレーションを行うこと。そして夫婦で、何を優先するのかをきちんと言語化しておく必要があります。利便性を取るのか、自然環境を取るのか、人間関係や収入をどう考えるのか。ここがズレると、同じ場所に住んでいても、一方は『満足』でも、もう一方は『後悔』になります」
移住の失敗とは、土地選びの失敗である前に、日常を見誤ったことの代償なのかもしれない。

ユニバーサルバンク代表。財務コンサルタント。早稲田大学卒業後、大手銀行に24年間勤務。2020年株式会社ユニバーサルバンク設立。富裕層の資産運用から、数十億の法人融資まで1,000社以上の審査と支援を経験。「銀行を超えた銀行を創る」という思いから2020年独立、「株式会社ユニバーサルバンク」設立。3,000万円以上の自己投資をして起業初年度から年商1億5,000万円のビジネススクールを経営、提供するセミナーも6,000人以上が受講。「真に豊かな人生を送れる人を増やしたい」という想いから、財務×ビジネス×資産形成を融合したReal Wealth®︎プログラムを開発

