◆中村俊輔が担う、控え選手のケア
メンタル面、マインド面とあえて書き分けているが、長友、南野、吉田については主にマインド面で大きな影響力を持つと考えている。チームとしての意識づくり、目標に対する思考力、信念への強さといった部分では日本でもトップクラスの経験を持つ人材だ。一方のメンタル面は、控え選手のモチベーション、気分や気力が低下したなかでの取り組み方やチームとの向き合い方といったように定義している。長友、南野、吉田の3人ともワールドカップではレギュラーという立場でしか参加しておらず、控えで試合に出られない立場でのワールドカップを経験していない。
控え選手へのケアとして、日本で最も説得力を持つ人材が中村俊輔コーチとなる。2010年のワールドカップでは試合に出られないベテランでありながら、腐らずに最後までチームに尽くした話は日本サッカー界の伝説のひとつとなっている。
決勝まで勝ち上がれば8試合と、これまでの大会より1試合多くなる。開催期間は前回よりも10日間長く設定されてはいるが、移動距離や時差といった環境要因を踏まえると、26名全員が出場するくらいの総力戦で臨まなければコンディションの維持も難しくなる。それゆえに、控え選手のメンタルケアはこれまで以上に重要といえる。
◆アイスランド戦は調整に徹する?
森保監督をはじめ協会スタッフは、優勝に向けて抜かりない準備を進めている。あとできることは戦術面になるが、おそらく今回のアイスランド戦では見えてくることはないだろう。森保監督もコメントを残しているが、今回のアイスランド戦はコンディション確認という意味合いが強い。遠藤航をはじめとし、負傷による長期離脱によって実戦形式でのパフォーマンスをしっかりと確認できていない選手が何人かいる。コンディションの確認が目的で、その後メキシコに渡ってからオランダ戦へ向けた具体的な戦術練習に入るものと見られている。
戦術の構築よりも、今回の試合では本大会へ挑む日本代表を快く送り出してモチベーションを高めてもらおうという壮行が主目的となる。
異論のない決断などあり得ないが、森保監督はやれることをすべてやったうえで、全責任を負って戦いの場へ向かおうとしている。大いなる挑戦を直前に控える今の日本代表には、最大限のエールを携えて決戦の地へ旅立ってほしい。
<TEXT/川原宏樹>
【川原宏樹】
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる

