◆「文句があるなら殴ってみるか?」と言われ…

「この時点で勝負ありの状態でしたが、クレーマーおじさんから女性スタッフへの謝罪の言葉はありませんでした。作業服のお兄さんはそれが気に入らなかったのか『店員さんに謝れよ。いい歳してそんなこともできないのか? 親の顔が見てみたいわ』と言うだけでは飽き足らず、おじさんの部下と思われる男性たちにも『あんたらも注意しろよ。止めようとしなかったあんたらも同罪だぞ』と注意していました」
さすがにいたたまれなくなったのか3人組はその後すぐに会計を済ませ、そそくさと店を出て行ってしまったとか。
この一部始終は辻沢さん以外のお客たちも目撃しており、周りからは「兄ちゃん、よく言った!」などの言葉が飛んでいたそう。さらに女性店員や店長からも何度もお礼されており、照れくさそうにしていたという。
「私自身は飲食店のスタッフに文句を言ったことはありませんが、仮に一緒に飲みに行った上司がクレーマーとなった場合、私もあのおじさんの部下のように何もできなかったかもしれません。いい気味だと思って見ていたのは事実ですが、一方で他人事じゃないなと思わせる出来事でした」
確かに、状況によっては傍観者でいられない場面もあるだろう。巻き込まれないためにもクレーマー気質の人物と飲みに行くのは極力避けたほうがよさそうだ。
<取材・文/トシタカマサ>
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◆■ お酒の席は、節度をもって楽しく
今回のような場面で「お酒のせいだ」と言うのは簡単ですが、実際には仕事のストレス、その日の体調、疲労、ちょっとした行き違い――そんな複合的な要素が重なり、普段は穏やかな人でも横柄になってしまうことがあります。お酒はそのきっかけの一つに過ぎず、普段なら「料理がまだ?」と笑って待てるような場面でも、別の日には怒鳴り声に変わってしまう。誰にでも起こり得ることかもしれません。実際、UAゼンセンが2024年に実施した「カスタマーハラスメント対策アンケート調査」(回答33,133件)によると、最も印象に残っている迷惑行為のトップは「暴言」で39.8%。今回のエピソードのように“怒鳴る”行為が、店員の心に最も深く残る迷惑行為であることがわかります。さらに、迷惑行為をしていた顧客の70.6%が男性、年代では50代が27.2%、60代が29.4%と、中高年男性が目立つ結果に。話し方は「大声をあげる時があった」が51.3%でトップでした。今回のアラフィフ男性のような場面は、決して珍しいケースではないのです。


近年では、2026年2月に農林水産省が『飲食店向けカスタマーハラスメント対策ガイドライン』を公表するなど、飲食店で働く方々を守る取り組みも進んでいます。
ちなみに今回のエピソードでは作業服姿の男性が割って入って場が収まりましたが、第三者が間に入ることはトラブルがさらに大きくなる危険もあります。危ない場面に遭遇したら、まずは店員さんに知らせたり、状況によっては警察に連絡するのが安全です。
明日も誰かが笑顔で迎えてくれるように、グラスを傾ける時間が、お店の方にとってもお客さんにとっても、心地よいものでありますように。
<再構成/日刊SPA!編集部>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

