◆ゴミを放置する老夫婦に「お前がもって帰れ」と…

「意外に思うかもしれないですが、ゴミを平気で捨てられる人が世の中にはいるんです。特に、山頂ではご飯を食べる人も多く、こっそりと岩陰や木の中に捨てていく人が多い。つい最近でも、自分が経営しているお店で買ったおにぎりとおかずの容器を、山頂に放置しようとしている老夫婦がいました。せめて所定の場所で捨ててほしいと説明すると、麓で食べ物を売っている店が悪いとキレ始め、お前がもって帰れと喧嘩腰で詰め寄ってきたんです。それ以上揉めるのも嫌なので仕方なく自分が引き取りましたが、マナーという概念が欠如している年配の登山者は結構いるんです」

「コロナ禍もあって再び登山ブームが来て、マナーをしっかり守ろうという呼びかけが各所で行われています。自分が管理している山でも、麓に看板を立てたり啓蒙活動をしているところです。ただ、昔から登っている人からしたら、堅苦しくなって楽しくないという意見の登山者もいるんです。そういった人が、自分本位な言動をするんです。最近では、地元の消防や警察とも連携して、パトロールを強化している。少しでもマナーの悪い登山者がいなくなるように、ストレスはかかりますが、山のためにも頑張ってパトロールを続けています」
昔から「山には神様がいる」と言われ続けているが、マナー違反を続ける登山者は、一度自分の行動を見つめ直したほうが良いかもしれない。
<TEXT/高橋マナブ>
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◆■“自由なレジャー”だった山が、変わりつつある現場
益田さんの話を聞いていて、思わず苦笑いしてしまいました。「お前がもって帰れ」と詰め寄られたら、こちらが悪いような気さえしてくる。マナーを守って静かに楽しんでいる多くの登山客には、まったく迷惑な話です。じつは、こうした登山客のマナー違反やゴミ問題は、各地の山岳地域で深刻化しており、対策も少しずつ“次の段階”に入りつつあります。たとえば北アルプスの上高地・徳沢地区では、2025年から「ごみ有料引き取り」の実証実験が始まりました。指定のゴミ袋を1枚1,000円で購入し、そこに入る分のゴミを引き取ってもらう仕組みです(参照:環境省 中部地方環境事務所「上高地におけるごみ有料引き取り」実証実験)。
さらに富士山では、2025年夏に山梨県側の吉田ルートで1人2,000円の通行料が正式導入されたのに続き、2026年の開山期からは山梨・静岡の両県ですべての登山口に1人4,000円の通行料・入山料が導入されることになっています(参照:静岡県「富士山各3登山口における登山規制の実施」 )。
「山はみんなのもの、無料で当たり前」だった時代から、利用者に一定の負担をお願いする流れへ――。背景にあるのは、まさに益田さんが直面しているような、一部の利用者のマナー違反と、それに伴う環境破壊の現実なのです。

<再構成/日刊SPA!編集部>
【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている

